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【サロン経営者必見】回数券の作り方完全ガイド|メリット・デメリットから特定商取引法まで徹底解説

この記事を読んでいるあなたは、「お客様にもっとリピートしてほしい」「毎月の売上を安定させたい」という強い思いから、サロンの回数券導入を検討しているのではないでしょうか。

しかし、いざ作ろうとすると「そもそも何から手をつければいいの?」「価格設定や割引率はどう決める?」「法律のことは難しくてよくわからない…」といった、数々の疑問や不安が次々と浮かんでくるかもしれません。

この記事では、そんなサロンオーナー様の悩みをすべて解決します。

回数券の具体的な作り方の手順から、導入のメリット・デメリット、そして絶対に知っておくべき特定商取引法について、専門用語を極力使わず、誰にでも分かるように丁寧に解説していきます。

具体的な成功事例や、すぐに使える作成ツールも紹介するので、読み終わる頃には、あなたのサロンに最適な回数券を作り、自信を持ってお客様におすすめできるようになるでしょう。

目次

まず結論から解説!サロン回数券の作り方5ステップと導入の判断基準

時間がない方のために、まずこの記事の結論からお伝えします。

サロンで回数券を作る手順は、大きく分けて5つのステップで進めるのが最も効率的で、失敗がありません。

また、そもそも自分のサロンに回数券が本当に必要なのか、導入すべきなのかを判断するための基準も解説しますので、ご自身のサロンの状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

サロンの未来を設計する回数券の作り方5つの具体的なステップ

サロンの回数券作成は、決して思いつきで進めてはいけません。

成功の鍵は、計画的に、一つ一つのステップを丁寧に進めることです。

以下の5つのステップに沿って進めることで、お客様に喜ばれ、かつサロンの利益にも繋がる理想的な回数券が完成します。

  1. 目的の明確化:なぜ回数券を導入するのかを突き詰めて考えます。「リピート率を80%にしたい」「閑散期の売上を最低30万円確保したい」など、具体的な数値目標を立てると、後のステップがブレにくくなります。
  2. 回数券の内容決定:目的が決まったら、具体的な中身を設計します。どのメニューを対象にするか、何回コースにするか、有効期限はどのくらいにするか、利用できるのは本人のみかなど、細かい利用条件をここで全て決定します。
  3. 価格と割引率の設定:お客様にとっての「お得感」と、サロンの「利益確保」を両立させる、最も重要なステップです。原価計算をしっかり行い、無理のない範囲で魅力的な価格を設定します。
  4. デザイン作成と印刷:回数券はサロンの顔とも言える販促物です。サロンのコンセプトやブランドイメージが伝わるような、魅力的で上質なデザインを考え、形にします。安っぽく見えない工夫が大切です。
  5. 法律面の確認と販売準備:作成した回数券が特定商取引法に抵触しないかを最終確認します。そして、お客様にスムーズに案内できるよう、セールストークやマニュアルを準備します。

この5つのステップを順番に踏むことで、導入後のトラブルを防ぎ、失敗のない回数券導入が実現できます。

あなたのサロンは導入すべき?回数券導入のメリットを判断する基準

回数券は、どんなサロンにも効く万能薬というわけではありません。

あなたのサロンの現状や目指す方向性によっては、導入しない方が良いケースもあります。

導入を判断する基準として、以下の3つの点に魅力を感じるかどうかを考えてみてください。

  • リピートしてくれるお客様を増やしたいか:単発利用のお客様が多く、なかなか次回の予約に繋がらないサロンにとって、回数券はリピートを促す非常に強力なきっかけになります。
  • 売上の安定化を図りたいか:回数券は売上の前払いという性質を持つため、先の売上見通しが立てやすくなります。特に、季節によって客足が変動しやすいサロンや、毎月の固定費の支払いに不安があるサロンには大きな助けとなります。
  • お客様との関係性をより深めたいか:定期的に通っていただくことで、お客様一人ひとりの悩みや身体・肌の変化に深く寄り添った提案が可能になります。これにより信頼関係が構築され、お客様がファンになってくれる可能性が高まります。

これらの基準に「YES」と答えられるのであれば、あなたのサロンにとって回数券は非常に有効なツールとなるでしょう。

回数券作成で失敗しないために最初に押さえておくべき最重要ポイント

回数券作成で最も重要なポイントは、「お客様目線」と「経営者目線」のバランスを絶妙に取ることです。

このバランスが崩れると、回数券は失敗に終わってしまいます。

お客様にとっては、お得で、使いやすく、分かりやすいことが何よりも重要です。

一方で、経営者側から見れば、利益を確保し、適切なタイミングで利用してもらい、管理の手間を減らす必要があります。

例えば、無料のデザイン作成ツール「Canva」を使えば誰でも手軽にデザインできますが、安っぽく見えないようにサロンのロゴを入れたり、印刷サービス「ラクスル」に発注して上質な紙を選んだりするなど、お客様が「価値」を感じる工夫を怠らないことが成功への第一歩です。

サロンが回数券を導入する絶大なメリットと顧客満足度の向上

回数券の導入は、サロン経営に計り知れないほどの多くのメリットをもたらします。

単に目先の売上が上がるだけでなく、お客様との関係性を強化し、将来にわたって安定したサロン運営を続けるための強固な基盤を築くことができます。

ここでは、具体的なメリットを一つずつ深掘りして解説します。

売上の前倒しによるキャッシュフローの安定化という大きなメリット

回数券を販売する最大のメリットの一つが、売上を前倒しで確保できる点です。

キャッシュフローとは、事業における「お金の流れ」のことです。

通常、施術を行ったその日に売上が発生しますが、回数券であれば販売した時点で数回分の施術料金をまとめて受け取ることができます。

これにより、手元のキャッシュフロー、つまり自由に使える現金が潤沢になり、資金繰りが非常に楽になります。

例えば、月初のキャンペーンで回数券が数枚売れるだけで、その月の家賃や材料の仕入れ費用の支払いに充てることができ、経営者の精神的な安心感にも繋がります。

顧客の囲い込みとリピート率向上に繋がる回数券の仕組み

一度来店したお客様に、いかにして「また来たい」と思ってもらい、再来店してもらうかは、すべてのサロン経営者が抱える永遠の課題です。

回数券は、この課題を解決する非常に強力なツールです。

お客様は「まだ回数券が残っているから、またあのお店に行こう」と考えるため、自然な形でリピートが促進されます。

これにより、他のサロンに目移りするのを防ぐ「顧客の囲い込み」効果が期待でき、お客様が自店から離れていくのを防ぎます。

さらに、定期的に通っていただくことで施術の効果を実感しやすくなり、お客様の満足度も向上します。

満足度が高まれば、回数券を使い切った後も継続して通ってくれる「優良顧客」へと育っていく可能性が飛躍的に高まります。

計画的な施術提案で実現する顧客単価と満足度のダブルアップ

回数券を導入すると、お客様の来店ペースがある程度予測しやすくなるため、より計画的で、長期的な視点に立った施術提案が可能になります。

これは、その場しのぎの提案ではなく、お客様の未来を一緒に考えるプロフェッショナルなアプローチです。

例えば、エステサロンで肌質改善コースの回数券を販売した場合、「次回は2週間後にこの施術を行い、その次は1ヶ月後にこちらのケアを組み合わせることで、理想のお肌に最短で近づけますよ」といった長期的な美肌プランを提案できます。

これにより、お客様は「プロとして自分のことを真剣に考えてくれている」と感じ、サロンへの信頼感が格段に増します。

また、回数券メニューに関連するオプションメニューや、効果を維持するためのホームケア商品を提案するチャンスも増えるため、結果的に顧客単価の向上にも繋がるのです。

導入前に知っておきたいサロン回数券のデメリットと具体的な対策方法

多くのメリットがある一方で、回数券にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。

これらを事前に理解し、しっかりと対策を講じておくことで、導入後の思わぬトラブルを防ぎ、スムーズな運用が可能になります。

売上の前倒しが引き起こす将来の資金繰り悪化というデメリット

メリットとして挙げた「売上の前倒し」は、光があれば影があるように、裏を返せばデメリットにもなり得ます。

回数券を販売した月には大きな売上が計上されますが、そのお客様が実際に来店する未来の月には、施術を提供しても新たな現金収入は発生しません。

もし、回数券の販売に頼りすぎて、その月の売上をすべて使い込んでしまうと、数ヶ月後に「毎日施術で忙しいのに、なぜか手元にお金がない」という黒字倒産のリスクすらある危険な状況に陥る可能性があります。

対策としては、回数券の売上は事業用の口座とは別の専用口座で管理するなどして、すぐに使ってしまわない仕組みを作ることが重要です。

会計上は「前受金」という負債として処理し、施術を提供するたびに売上として計上していくという考え方を徹底しましょう。

お客様が来なくなった場合の返金トラブルという大きなデメリット

回数券を購入したお客様が、引っ越しや転勤、妊娠、あるいは残念ながらサロンへの不満といった様々な理由で通えなくなってしまうケースは、必ず起こり得ます。

その際に最も問題となりやすいのが「返金」に関するトラブルです。

後述する特定商取引法の対象となる回数券の場合は、法律で定められた中途解約や返金のルールに従う義務があります。

対象外の場合でも、返金に関するルールを明確に定めておかないと、「全額返してほしい」「そんなルールは聞いていない」といった深刻なクレームに発展しかねません。

対策として、回数券を作成する際に「原則としてお客様都合での返金は致しかねます」や「中途解約の場合は、すでに利用された回数分を通常料金で計算し、所定の解約手数料を差し引いた上で返金いたします」といった規約を明記し、購入時に必ず口頭で説明し、同意書にサインをいただくなどの対策が不可欠です。

顧客管理の煩雑化と予約の集中というデメリットへの備え

紙の回数券を発行した場合、「あのお客様、あと何回残っていたかな?」という残回数を正確に管理する必要があります。

お客様が回数券を紛失したり、サロン側で管理ミスがあったりすると、お客様からの信頼を一瞬で失う原因になります。

また、有効期限が近づいたお客様からの予約が月末に集中し、予約枠がパンクしてしまうという問題も起こりがちです。

対策としては、顧客カルテに回数券の利用状況を毎回手書きで記録するのはもちろんのこと、「STORES予約」や「Square予約」といった予約システムを導入し、デジタルで回数券情報を管理する方法が非常に有効です。

これにより、管理の手間が劇的に省けるだけでなく、有効期限のリマインドメールを自動で送信することも可能になり、サービスの質も向上します。

サロンオーナーが絶対に知るべき特定商取引法と回数券の関係

回数券を発行する上で、最も注意しなければならないのが「特定商取引法(通称:特商法)」という法律です。

この法律は、私たち消費者を悪質な事業者から守るためのものですが、その内容を知らないまま回数券を販売すると、意図せず法律違反となってしまう可能性があります。

ここでは、サロン経営者が最低限知っておくべき特商法の基本を、分かりやすく解説します。

なぜサロンの回数券が特定商取引法に関係してくるのか

特定商取引法は、訪問販売や通信販売など、特に消費者トラブルが生じやすいとされている特定の取引類型を対象に、事業者が守るべきルールを厳格に定めた法律です。

この法律の中に「特定継続的役務提供」という分類があり、一部のサロンで販売される回数券がこれに該当する場合があります。

「役務」とはサービスのことで、「継続的」に「高額」なサービスを提供する契約について、消費者を過剰な負担から保護するための特別なルールが設けられているのです。

具体的には、クーリングオフ制度や中途解約のルール、契約前後の書面交付義務などが定められており、これらを守らないと行政処分や罰則の対象となるため、正しい知識を持つことが極めて重要です。

特定商取引法が定める特定継続적役務提供の詳しい内容

特定継続的役務提供とは、簡単に言うと「長期間にわたり、継続的にサービスを提供し、それに対して高額な対価を受け取る取引」のことを指します。

現在、法律で対象として具体的に定められているのは以下の7つの業種(役務)です。

エステティックサロン 美容医療
語学教室 家庭教師
学習塾 パソコン教室
結婚相手紹介サービス

あなたのサロンがこれらの業種に該当し、かつ「期間が1ヶ月を超え、金額が5万円を超える」契約(回数券など)を結ぶ場合、特定継続的役務提供として特商法の規制対象となります。

例えば、エステサロンで「3ヶ月有効・10回6万円」の回数券を販売する場合、この条件に完全に合致するため、法律で定められた全てのルールを遵守する必要があります。

特定商取引法を遵守しない場合にサロンが負うリスクとは

もし、特定商取引法の対象となる回数券を販売しているにもかかわらず、定められたルールを守らなかった場合、サロンは計り知れないほど大きなリスクを負うことになります。

例えば、お客様からクーリングオフの申し出があった際に正当な理由なく拒否したり、法律で定められた契約書面を交付しなかったりした場合、業務改善指示業務停止命令といった重い行政処分の対象となる可能性があります。

さらに、お客様から契約の無効を主張されたり、損害賠償を請求されたりする民事上のトラブルに発展することもあります。

一度このような事態になれば、サロンの信用は大きく損なわれ、最悪の場合、経営の存続に関わる事態にもなりかねません。

特定商取引法の対象になる?ならない?あなたのサロンの回数券をチェック

自分のサロンで発行したいと考えている回数券が、この特定商取引法の対象になるのか、ならないのかを正確に判断することは、リスク管理の上で非常に重要です。

ここでは、具体的な条件をもとに、ご自身のケースをチェックする方法を詳しく解説します。

あなたのサロンの業種は特定継続的役務提供の対象ですか

まず最初に確認すべきは、あなたのサロンの「業種」です。

特定商取引法で「特定継続的役務提供」の対象として定められているのは、前述の通り7業種です。

サロン関連で特に注意が必要なのは「エステティックサロン」で、これは法律上「人の皮膚を清潔にし、もしくは美化し、体型を整え、または体重を減らすための施術を行うこと」と定義されています。

一般的なリラクゼーションマッサージや、もみほぐし、整体、カイロプラクティック、ネイルサロン、まつげエクステサロンなどは、現在の法律では原則として対象外とされています。

ただし、サービス内容が痩身や美肌など、エステティックの領域に近いと判断される場合もあるため、迷った場合は自己判断せず、管轄の自治体の消費生活センターや、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

回数券の金額と期間が5万円超かつ1ヶ月超の条件に当てはまりますか

次に、あなたのサロンの業種が対象だった場合にチェックすべきなのが「金額」と「期間」の二つの条件です。

法律では「契約金額が5万円を超え、かつ契約期間が1ヶ月(美容医療の場合は2ヶ月)を超えるもの」が対象と定められています。

この「かつ」という点が非常に重要なポイントで、両方の条件を同時に満たした場合にのみ対象となります。

  • 対象になる例:エステサロンで「12回コース10万円、有効期限6ヶ月」の回数券 → 金額(10万円>5万円)、期間(6ヶ月>1ヶ月)の両方を満たすため対象。
  • 対象にならない例①:エステサロンで「5回コース4万円、有効期限3ヶ月」の回数券 → 金額が5万円以下のため対象外。
  • 対象にならない例②:エステサロンで「10回コース6万円、有効期限1ヶ月」の回数券 → 期間が1ヶ月を超えていないため対象外。

この基準をうまく活用し、あえて「49,800円」の価格設定にしたり、「有効期限を1ヶ月以内」に設定したりして、意図的に特商法の対象外となるような回数券を作成するのも一つの賢い戦略です。

特定商取引法の対象となる場合に必要な書面と手続きのすべて

もし、あなたのサロンの回数券が特商法の対象となる場合、法律で定められた手続きを厳格に、かつ誠実に実行する必要があります。

主に以下の義務を果たさなければなりません。

  1. 概要書面の交付:契約を結ぶ前に、サービス内容や金額、解約条件などを詳しく記載した「概要書面」をお客様に渡し、内容を丁寧に説明する義務があります。
  2. 契約書面の交付:契約が成立した後には、同様の内容を記載した「契約書面」を遅滞なく交付しなければなりません。
  3. クーリング・オフへの対応:お客様は、契約書面を受け取った日を含めて8日間は、理由を問わず無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」の権利を持っています。この権利について、書面で分かりやすく告知し、申し出があった場合は速やかに応じる必要があります。

これらの書面には記載すべき事項が法律で細かく定められているため、必ず消費者庁のウェブサイトで公開されている雛形などを参考に、間違いのないように作成しましょう。

魅力的なサロン回数券の具体的な作り方とデザインのポイント

法律の知識をしっかりと身につけたら、次はいよいよお客様の心を掴む回数券そのものを作成するステップです。

お客様が「欲しい!」と直感的に思い、お財布の中で大切に持っていただけるような、魅力的な回数券の作り方をデザインのポイントも交えて具体的に解説します。

無料ツールCanvaを活用したオリジナル回数券のデザイン作成方法

専門のデザイナーに依頼しなくても、今では無料でプロレベルのデザインを作成できる素晴らしいツールがあります。

その代表格が、世界中で利用されているオンラインデザインツール「Canva(キャンバ)」です。

Canvaには、名刺やギフト券、チケット用のテンプレートが豊富に用意されており、それらをベースに自分のサロンのロゴや写真、テキストをドラッグ&ドロップで配置するだけで、驚くほど簡単におしゃれな回数券が作成できます。

サロンのブランドイメージに合わせて、色やフォントを慎重に選びましょう。

例えば、高級感を演出したいなら、ネイビーやゴールドを基調に、上品な明朝体のフォントを、親しみやすさを出したいなら、明るいパステルカラーに手書き風のフォントを選ぶなど、細部までこだわることで、お客様に与える印象が大きく変わります。

印刷通販のラクスルやプリントパックで高品質な回数券を注文する手順

デザインデータが完成したら、次はそのデータを物理的なカードにする印刷の工程です。

自宅のプリンターで印刷することも可能ですが、お客様にお渡しするものですから、プロの印刷サービスを利用して高品質に仕上げることを強くおすすめします。

業界最大手の「ラクスル」や「プリントパック」といったネット印刷通販サイトなら、驚くほど低価格で高品質な印刷が可能です。

サイトで「名刺印刷」や「チケット印刷」といったカテゴリを選び、Canvaで作成したデザインデータを入稿するだけで注文は完了します。

その際、紙の種類も選ぶことができますが、少し厚手で高級感のある上質紙やマットコート紙を選ぶのがおすすめです。

紙の質感は、回数券の価値を大きく左右します。

回数券に必ず記載すべき必須項目とお客様を迷わせないための注意点

回数券には、後々のトラブルを未然に防ぐために、必ず記載すべき必須項目がいくつかあります。

これらが漏れていると、お客様に不信感を与えかねません。

  • 発行者情報:サロン名、住所、電話番号
  • 対象メニュー:どのメニューで利用できるか
  • 回数・金額:合計の回数と販売価格(税込)
  • 有効期限:「ご購入日より〇ヶ月」のように具体的に記載
  • ご利用上の注意(利用規約):これが最も重要です。「ご予約の際は回数券利用の旨をお伝えください」「紛失時の再発行は致しかねます」「ご本人様のみ利用可能です(あるいは譲渡可など)」「返金・換金はできません」といった利用ルールを、小さい文字でも良いので必ず明記します。

特に、中途解約や返金に関する規定は、たとえ特商法の対象外であっても、後のトラブル防止のために明確に記載しておくことが、誠実なサロン運営の証となります。

利益と集客を両立させるサロン回数券の価格設定と割引率の決め方

回数券の最大の魅力は、なんといってもその「お得感」にあります。

しかし、割引をしすぎると、忙しいだけで利益が残らないという事態に陥り、サロンの経営を圧迫してしまいます。

ここでは、お客様に心から喜んでいただきつつ、経営もしっかり安定させるための、戦略的な価格設定のコツを解説します。

お客様が最も魅力を感じる割引率の具体的な設定方法

回数券の割引率は、高すぎず、低すぎず、その絶妙なバランスが求められます。

一般的に、お客様が「これはお得だ!」と直感的に感じやすいのは、「1回分無料」という非常に分かりやすいメリットです。

例えば、1回5,000円のメニューであれば、「5回券 20,000円(通常5回で25,000円のところ、1回分5,000円もお得!)」といった形です。

これは実質20%の割引になりますが、パーセンテージで示すよりも「1回分無料」と伝えた方が、お客様の心に強く響きます。

回数が多いコースほど割引率を高く設定するのが基本で、「5回券は1回分お得」「10回券は2.5回分お得」のように、回数が多くなるほどお得感が増すように設計すると、より高額な回数券を選んでもらいやすくなります。

ただし、利益を圧迫しないよう、割引率は最大でも30%程度に抑えるのが賢明です。

松竹梅の法則を応用した3段階の回数券メニューの作り方

価格設定で迷ったら、「松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)」を応用するのが非常におすすめです。

これは、3つの選択肢(高・中・低)があると、多くの人が無意識に真ん中のものを選んでしまうという有名な心理効果です。

例えば、以下のように3種類の回数券を用意します。

  • 【梅】お試し3回券:回数券を試してみたい方向け
  • 【竹】スタンダード6回券:最もおすすめの基本コース
  • 【松】集中ケア12回券:本気で改善したい方向けのプレミアムコース

このように提示すると、多くのお客様が「一番安すぎるのは効果がなさそうだし、一番高いのは手が出ないから、真ん中のにしよう」と考え、【竹】のスタンダード6回券を選びやすくなります。

これにより、サロン側が最も販売したい価格帯の回数券に自然と誘導することができ、客単価をコントロールしやすくなるのです。

選択肢が多すぎるとお客様は選ぶことに疲れてしまうため、3種類程度に絞るのがポイントです。

原価計算を徹底してサロンの利益を確実に確保する価格設定術

割引率を決める前に、絶対に怠ってはならないのが、施術1回あたりの原価を正確に計算することです。

原価には、施術で使用する化粧品やオイル、タオルなどの「変動費(材料費)」だけでなく、家賃、水道光熱費、広告宣伝費、そしてあなた自身の給与といった「固定費」を1時間あたりで割り出したコストも含まれます。

例えば、1回の施術の原価合計が2,000円だとすると、割引後の価格がこれを下回ってしまうと、お客様が来るたびに赤字になってしまいます。

必ず「割引後の1回あたりの価格 > 1回あたりの原価合計」となるように価格を設定してください。

この計算を怠ると、お客様が増えれば増えるほど経営が苦しくなるという、本末転倒な事態に陥ってしまいます。

作成した回数券を効果的に販売するためのセールストークとタイミング

どんなに素晴らしい内容とデザインの回数券を作っても、お客様にその魅力が伝わらなければ、それは存在しないのと同じです。

ここでは、お客様に不快感を与えることなく、「それ、欲しいです」と自然に思ってもらえるような、効果的な案内の仕方と絶妙なタイミングについて、具体的なトーク例を交えてご紹介します。

お客様の満足度が最高潮に達した施術後のタイミングを逃さない

回数券をおすすめする最高のタイミングは、施術がすべて終わり、お客様が鏡を見て効果を実感したり、身体が軽くなったと感動したりしている「満足度が最も高い瞬間」です。

このゴールデンタイムを逃してはいけません。

「〇〇様、今日の仕上がり、すごく良いですね!このツヤツヤの状態をキープするために、ご自宅でのケアも大切ですが、定期的なサロンケアが一番効果的です。もしよろしければ、都度払いより1回分もお得になるこちらの回数券はいかがですか?」

このように、施術前にセールスをするとお客様は身構えてしまいますが、満足感と幸福感に満たされている施術後であれば、「良い状態を続けたい」という気持ちから、前向きに検討してくれる可能性が格段に高まります。

お客様の悩みに寄り添うカウンセリング主導のセールストーク

単に「お得ですよ」「安くなりますよ」と伝えるだけでは、ただの押し売りに感じられてしまうこともあります。

重要なのは、カウンセリングでお聞きしたお客様の悩みに深く寄り添い、「あなたのための特別な提案です」という姿勢を示すことです。

「先ほど、最近お仕事が忙しくて肩こりがひどいとおっしゃっていましたよね。〇〇様のような方には、月に2回のペースでこのリンパマッサージを受けていただくと、かなり楽になりますよ。そのペースで通っていただくなら、都度払いですと損なので、こちらの回数券が断然お得です

このように、お客様が抱える課題を解決するための最適な手段として回数券を位置づけることで、セールス色が薄まり、プロからの純粋なアドバイスとして、素直に受け取ってもらいやすくなります。

初回限定キャンペーンと組み合わせた回数券の販売戦略

多くのサロンでは、新規のお客様を集めるために、初回限定の割引価格で施術を提供していることでしょう。

その初回のお客様がお帰りになる際に、「本日はありがとうございました。もしよろしければ、本日と同じこのお得な価格で、あと4回通える特別な回数券をご用意しているのですが、いかがですか?」と提案するのは非常に効果的な戦略です。

お客様は「今日のこの満足度の高い施術が、この安い値段でまた受けられるならお得だ」と、価値を強く感じてくれます。

これは、心理学でいう「アンカリング効果」を利用したもので、「初回価格」というお得な価格が基準(アンカー)になるからこそ効果的な方法です。

このチャンスを逃すと、次回以降は通常価格からの割引提案になるため、お得感が薄れてしまいます。

回数券導入で成功したサロンの事例と参考にしたいアイデア集

ここまでは理論的な話が中心でしたが、実際に回数券を導入して成功しているサロンの事例を知ることは、あなたのサロンでの具体的な展開をイメージする上で非常に役立ちます。

ここでは、具体的な成功事例と、あなたのサロンでもすぐに真似できるアイデアをご紹介します。

閑散期の売上確保に成功した個人経営エステサロンの事例

都心から少し離れた住宅街で個人経営するエステサロン「Salon de CoCo」は、夏休み明けの9月や、イベントの少ない2月の売上減少に長年悩んでいました。

そこで、特定のメニューに限定した「季節の変わり目 ゆらぎ肌対策 3回券」を、通常よりも割引率を高めにして販売。

特に、閑散期に入る直前の8月と1月に集中的に販売キャンペーンを行ったところ、多くのお客様が「ちょうど肌が荒れやすい時期だから」と購入。

結果として、これまで落ち込みがちだった9月と2月の予約が安定的に埋まり、年間の売上を平準化させることに成功しました。

お客様にとっても、肌が不安定になりがちな季節にお得に集中ケアができると好評で、サロンと顧客双方にとってwin-winの結果となりました。

高額コースへのステップアップに繋がったリラクゼーションサロンの事例

駅前で60分のもみほぐしをメインに提供していたリラクゼーションサロン「Body Reset」は、常連客は多いものの、客単価の低さが経営課題でした。

そこで、まずはお試しとして「30分クイックマッサージ 5回券」という低価格・短時間の回数券を導入。

これにより、これまで価格を理由に来店をためらっていた新規顧客や、忙しくて長い時間は取れないという層の獲得に成功しました。

そして、その回数券を利用するお客様とのコミュニケーションを深める中で、より根本的な悩み(慢性的な腰痛や冷え性など)を丁寧にヒアリングし、アロマトリートメントや骨盤調整といった高単価の専門コースを提案。

結果として、回数券がきっかけで来店したお客様の多くが、より専門的な高額コースへとステップアップし、サロン全体の客単価を1.5倍に引き上げることに成功しました。

友人紹介やギフト利用で新規顧客を増やしたネイルサロンの事例

おしゃれなデザインが人気のネイルサロン「Nail Palette」では、ユニークな回数券の活用法で成功を収めています。

通常の自分用回数券に加えて、「お友達紹介特典付きシェア回数券」を導入。

この回数券は、購入した5回分のうち、1回分を家族や友人にプレゼントできるというものです。

紹介された友人は無料で施術を体験できるため、来店への心理的なハードルが非常に低くなります。

さらに、デザイン性の高いギフトボックスに入った「ギフト用ネイルチケット」も販売。

誕生日や母の日のプレゼントとして人気を博し、これまでサロンを知らなかった新しい層の顧客獲得に大きく貢献しています。

回数券を「自分用」だけでなく「プレゼント用」と捉えることで、新規顧客獲得の新たな可能性が広がります。

回数券導入後の顧客管理とリピート率をさらに高める方法

回数券は、販売して終わり、ではありません。

むしろ、そこからがスタートです。

導入後の丁寧な顧客管理と、お客様との関係性をさらに深める工夫を続けることで、その効果を最大化し、サロンにとってかけがえのない資産として育てていくことができます。

紙の回数券とデジタルツールを併用した確実な顧客管理術

紙の回数券は手軽で温かみがありますが、紛失や管理ミスのリスクが常につきまといます。

そこでおすすめなのが、アナログとデジタルの併用です。

お客様にはスタンプカード形式の紙の回数券をお渡ししつつ、サロン側では顧客カルテやエクセル、スプレッドシートなどに「〇月〇日、5回券購入」「〇月〇日、2回目利用、残3回」といった記録を必ずデータとして残します。

さらに確実性を高めたいなら、前述した「STORES予約」や、美容サロンに特化した顧客管理POSシステム「Bionly(ビオンリー)」といったツールを導入するのが理想です。

これにより、回数券の残回数や有効期限が一元管理でき、人的ミスを限りなくゼロに近づけることができます。

有効期限が近づいたお客様への効果的なリマインドと再購入促進

お客様は忙しい日々の中で、うっかり回数券の存在や有効期限を忘れがちです。

有効期限が切れる1ヶ月前や2週間前といったタイミングで、「〇〇様の回数券の有効期限が〇月〇日でございます。残り2回となっておりますので、ぜひご活用くださいね」といったリマインドの連絡をしましょう。

メールやLINE公式アカウントを使えば、一斉に、かつ手軽に連絡ができます。

この「おせっかい」とも思える一手間が、お客様の「うっかり失効」によるがっかり感を防ぎ、サロンへの信頼感を高めます。

そして、最後の1回を使い終わった際には、「本日で回数券が終了となりますが、もしよろしければ継続されますか?本日中に再度ご購入いただくと、特別なプレゼントがありますよ」といった再購入を促すキャンペーンを用意しておくのも非常に効果的です。

回数券顧客限定の特別キャンペーンでロイヤルティを高める施策

回数券を購入してくれるお客様は、数あるサロンの中からあなたのサロンを選び、継続して通うことを決めてくれた、非常に価値のある「優良顧客(ロイヤルカスタマー)」です。

そうしたお客様を「特別扱い」することで、さらなるロイヤルティ(忠誠心や愛着)を高めることができます。

回数券をご利用のお客様限定で、今月はオプションのヘッドスパを割引価格でご提供します」「来月から始まる新メニューを、一般公開に先駆けて先行で体験いただけます」といった限定キャンペーンを実施しましょう。

人は「限定」や「特別」「あなただけ」という言葉に弱く、自分が大切にされていると感じると、そのサロンへの愛着が深まります。

こうした地道な積み重ねが、お客様があなたのサロンにずっと通い続ける理由となり、長期的な安定経営に繋がっていくのです。

まとめ:サロンの未来を変える回数券の作り方と正しい知識

最後に、この記事で解説してきた重要なポイントを振り返りましょう。

回数券は、正しく理解し、戦略的に活用することで、あなたのサロン経営を劇的に好転させる可能性を秘めた、非常に強力なツールです。

回数券は単なる割引券ではなくサロン経営を安定させる戦略的ツールである

本記事では、サロンの回数券について、作り方の具体的な5ステップ、メリット・デメリット、そして特定商取引法という法律面での注意点まで、網羅的に解説してきました。

回数券は、単にお客様への割引を提供するものではありません。

回数券の戦略的価値

売上を前倒しで確保してキャッシュフローを安定させ、お客様のリピートを促して顧客を囲い込み、計画的な提案によって顧客単価と満足度を同時に高める、極めて戦略的な経営ツールなのです。

この記事で紹介した「Canva」でのデザイン作成や「ラクスル」での印刷、そして効果的な販売トークなどを参考に、ぜひあなたのサロンでも第一歩を踏み出してみてください。

特定商取引法を正しく理解しお客様との信頼関係を築く重要性

回数券導入にあたって、何度でも強調したいのが特定商取引法への正しい理解です。

法律と聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、これはお客様を守ると同時に、誠実なサロン運営を行うあなた自身を守るための大切なルールでもあります。

自分のサロンが対象になるのかを正確に把握し、対象となる場合は書面の交付やクーリングオフへの対応といった義務を誠実に果たすこと。

この誠実な姿勢が、お客様からの揺るぎない長期的な信頼に繋がります。

不明な点があれば、安易に自己判断せず、消費者庁の情報を確認したり、地域の商工会や専門家に相談したりする勇気を持ちましょう。

今日から始めるあなたのサロンに最適な回数券作成の第一歩

情報収集はここまでです。

次はいよいよ、行動に移す番です。

まずは、あなたのサロンが回数券を導入する目的を、紙に書き出してみましょう。

「リピーターを増やして、予約が常に埋まっている状態にしたい」「売上を安定させて、ずっと欲しかった新しい美容機器を導入したい」など、具体的な目標を立てることが、魅力的な回数券を作る何よりの原動力になります。

そして、この記事を何度も読み返しながら、対象メニュー、回数、価格、デザインを少しずつ形にしていきましょう。

あなたのサロンの輝かしい未来を切り拓く素晴らしい回数券が完成することを、心から応援しています。

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