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【完全ガイド】自宅サロンの経費はどこまで認められる?家事按分の具体例から認められる費用一覧まで解説

自宅で念願のサロンを開業したものの、毎日発生する費用のうち、どれが経費になって、どこまでが認められるのか分からず、不安に感じていませんか。

特に家賃や光熱費のように、プライベートの支払いと一緒になっているものは、どう分ければ良いのか頭を悩ませるポイントだと思います。この記事では、自宅サロンのオーナー様が安心して経営に集中できるよう、経費として認められるものの具体的な一覧から、判断に迷いがちな費用の具体例、そして税務署にしっかりと説明できる家事按分の方法まで、専門的な言葉を極力使わずに分かりやすく解説します。

この記事を最後まで読めば、経費に関するモヤモヤがスッキリと解消され、自信を持って確定申告の準備を進められるようになります。

目次

まず結論から!自宅サロンの経費として認められる費用項目の一覧

自宅サロンの経営において、何が経費として認められるのかを最初に把握しておくことは非常に重要です。経費とは、ごく簡単に言えば「サロンの売上を上げるために直接必要だった出費」のことです。

ここでは、多くの自宅サロンで共通して経費にできる代表的な項目を、具体的な一覧としてご紹介します。ご自身の出費と照らし合わせながら、どんなものが経費になるのかイメージを掴んでいきましょう。

サロンの施術で直接使う材料費やお客様のための消耗品費の具体例

自宅サロンで経費として最も分かりやすく、誰もが納得できるのが、お客様への施術に直接使用する材料費です。これらは売上が発生するために不可欠な費用だからです。

また、施術以外でお客様のために使う、使い捨てのスリッパやペーパーショーツ、お出しするお茶やお菓子、お手洗い用のハンドソープやペーパータオルなども消耗品費として経費計上が認められます。これらは売上を得るために必要な出費ですので、どんなに少額でもレシートや領収書を必ず保管しておきましょう。

  • エステサロンの例:マッサージオイル、化粧品、美容液、パック
  • ネイルサロンの例:ジェル、ストーン、アセトン、ファイル
  • リラクゼーションサロンの例:アロマオイル、キャリアオイル、ハーブティー
  • お客様用備品の例:使い捨てスリッパ、お茶菓子、ティッシュペーパー、タオル

サロン運営に欠かせない水道光熱費やインターネット通信費の考え方

自宅サロンでは、お客様が快適に過ごせる空間を提供するために、電気や水道、ガスは必須です。これら水道光熱費も、事業で使った分については経費として認められます。

ただし、自宅サロンの場合はプライベートでの使用と混在するため、全額ではなく、事業で使った割合分だけを計上する「家事按分(かじあんぶん)」という考え方が必要になります。同様に、予約管理や情報発信に使うインターネット回線の料金や、お客様との連絡に使うスマートフォンの通信費も、事業割合に応じて経費として認められる費用です。詳しい計算方法は後の章で詳しく解説します。

技術向上のためのセミナー参加費や関連書籍の購入代金も経費になる

自宅サロンのサービス品質を維持し、向上させるための自己投資も、経費として認められる重要な項目です。

例えば、新しい技術を学ぶためのセミナー参加費や、業界の最新情報を得るための専門雑誌の購読料、経営やマーケティングに関する書籍の購入費用などが該当します。これらは「研修費」や「新聞図書費」といった勘定科目で処理します。自分のスキルアップがお客様へのサービス向上に繋がり、結果として売上に貢献するという明確な目的があるため、経費として認められるのです。

新しいお客様を集めるための広告宣伝費として認められる具体例

自宅サロンの経営を軌道に乗せるためには、新規のお客様に来ていただくための集客活動が欠かせません。この集客にかかる費用は「広告宣伝費」として経費計上が認められます。

具体的には、サロンのチラシやパンフレットの印刷代、ホームページの作成費用やサーバー代、ホットペッパービューティーのようなポータルサイトへの掲載料、インスタグラムやフェイスブックで出稿するインターネット広告の費用などが挙げられます。これらの費用は、サロンの存在を知ってもらい、売上を立てるための重要な先行投資と見なされるため、忘れずに経費計上しましょう。

自宅サロン最大の疑問である家賃や光熱費はどこまで経費として認められるのか

自宅サロンオーナーが最も頭を悩ませるのが、家賃や水道光熱費といった、プライベートの生活費と事業の経費が一緒になっている「家事関連費」の扱いです。

これらは残念ながら全額を経費にすることはできません。しかし、「家事按分」という方法で事業に使った分だけを抜き出して経費にすることが認められています。この章では、その家事按分の考え方と具体的な計算方法を、誰にでも分かるように解説していきます。

家事按分という考え方を初心者にも分かりやすく丁寧に解説します

家事按分とは、家賃や電気代などの一つの支出の中から、事業で使った部分とプライベートで使った部分を、合理的な基準で分ける計算のことを指します。

税務署に「これは確かに事業で使った経費ですね」と納得してもらうためには、この「合理的な基準」が非常に重要になります。「なんとなく半分くらいかな」といった曖昧な基準ではなく、「サロンとして使っている部屋の面積」や「事業で電気を使っている時間」など、誰が見ても納得できる客観的な根拠に基づいて割合を決定する必要があります。この根拠を明確にしておくことが、安心して経費を計上するための鍵となります。

自宅サロンの家賃を経費にするための具体的な計算方法と事例を紹介

家賃を家事按分する際、最も一般的で合理的な基準は「事業で使用しているスペースの面積」です。これを面積基準と呼びます。

例えば、家全体の面積が80平方メートルで、そのうちサロンとして使用している一部屋が20平方メートルだったとします。この場合、事業使用割合は「20㎡ ÷ 80㎡」で25%となります。

もし月の家賃が12万円であれば、「12万円 × 25%」を計算した3万円を「地代家賃」として毎月経費に計上できます。この計算方法なら、税務署の調査があった場合でも、賃貸契約書や間取り図などを見せて明確に説明することができるため、非常に有効です。

電気代やガス代などの光熱費を経費にするための按分計算の具体例

水道光熱費の按分は、家賃よりも少し複雑になりますが、考え方は同じです。電気代の場合、事業での使用時間を目安にするのが一般的です。

例えば、1日のうちサロンの営業時間が8時間で、プライベートで家で電気を使う時間(家族が在宅している時間など)が8時間だった場合、事業使用割合は「8時間 ÷ (8時間 + 8時間)」で50%と計算できます。1ヶ月の電気代が15,000円なら、7,500円が経費です。

また、コンセントの数で按分する方法もあります。家全体のコンセントが10個あり、サロン専用で使っているのが3個なら、事業割合は30%と考えることもできます。自分にとって最も説明しやすい合理的な基準を選び、その計算根拠をメモしておくことが大切です。

インターネット代や携帯電話代など通信費の按分計算具体例

インターネット回線やスマートフォンの通信費も、家事按分で経費にできます。これらは使用日数や使用時間で按分するのが一般的です。

例えば、平日はサロンの予約管理やSNSでの情報発信で8時間、プライベートで4時間利用し、土日は全く仕事で使わない、という場合を考えてみましょう。

1週間の総利用時間のうち、仕事で使った時間の割合を算出し、その割合を月額の通信費にかけることで経費額を計算します。会計ソフトのfreee会計マネーフォワード クラウド確定申告などには、家事按分を簡単に行える機能が搭載されているので、活用するのもおすすめです。

これは経費になるのか判断に迷う自宅サロンの費用の具体例を徹底解説

経費の基本は理解できても、日々の活動の中では「この出費は経費にしても大丈夫だろうか」と判断に迷う場面が多々あります。

特に、飲食代や衣服代などはプライベートな支出との線引きが難しく、悩みの種になりがちです。この章では、そうしたグレーゾーンの費用について、経費として認められるケースと認められないケースを具体的な事例を挙げて詳しく解説します。

同業者とのランチミーティングや情報交換のための飲食代は経費にできるのか

同業者や取引先とのランチミーティングは、事業に関する情報交換や打ち合わせが目的であれば「会議費」として経費にすることが認められます。

重要なのは、その食事が「事業の売上を上げるために必要であったか」という点です。単なる友人との雑談ランチは認められませんが、新しい商材の情報交換や、今後のコラボ企画の打ち合わせなど、明確な事業目的があれば経費となります。

その際、領収書の裏に「〇〇社△△様と新メニュー開発の打ち合わせ」のように、誰と何のために食事をしたのかをメモしておくことが、税務署への説明責任を果たす上で非常に重要になります。

お客様への感謝を伝える手土産やプレゼント代は経費として認められるのか

日頃の感謝を込めてお客様にお渡しする手土産や、キャンペーンの景品としてプレゼントする品物の購入費用は、「接待交際費」や「広告宣伝費」として経費に計上することが認められます。

例えば、常連のお客様へのお歳暮や、記念キャンペーンで配布するオリジナルのノベルティグッズなどがこれにあたります。ただし、不特定多数に配るノベルティは広告宣伝費特定のお客様への贈り物は接待交際費と、目的によって科目が変わる点には注意が必要です。高額すぎる品物は認められない可能性もあるため、社会通念上、妥当な範囲の金額に留めておくのが賢明です。

仕事で着用するユニフォームや仕事用の衣服はどこまで経費にできるかの線引き

仕事中に着用する衣服の購入費は、経費にできるものとできないものの線引きが難しい項目です。明確な基準は「その衣服が仕事専用であり、プライベートで着用することがないか」という点です。

例えば、サロンのロゴが入ったエプロンや白衣、施術用の制服などは、明らかに業務用なので経費として認められます。一方で、普段着としても着られるようなワンピースやスーツなどは、仕事でしか着ないという客観的な証明が難しいため、経費として認められないケースがほとんどです。仕事着と普段着は明確に区別して管理することが大切です。

自宅サロンの雰囲気を良くするための内装やインテリア購入費用も経費になる具体例

お客様がリラックスできる空間を演出するための内装工事費用や、インテリア雑貨の購入費用も、事業に必要な経費として認められます。

例えば、壁紙の張り替え費用、お客様用のソファやテーブル、間接照明、観葉植物、アロマディフューザーなどが該当します。ただし、購入した金額によって会計処理の方法が異なります。10万円未満のものは「消耗品費」としてその年に全額経費にできますが、10万円以上のものは「減価償却資産」として、数年間に分けて経費計上する「減価償却」という手続きが必要になるので注意しましょう。

知らないと追徴課税のリスクも高まる自宅サロンで経費として認められない費用の一覧

経費にできるものを知ることと同じくらい、経費にできないものを正確に理解しておくことは、税務調査などで指摘を受けないために不可欠です。

もし誤って経費に計上してしまうと、後から追加で税金を支払う「追徴課税」の対象となる可能性があります。ここでは、自宅サロンの経費として認められない代表的な支出について、その理由とともに具体的に解説します。

追徴課税とは?

申告した税額が本来納めるべき額より少なかった場合に、不足分の税金に加えてペナルティとして課される税金(延滞税や過少申告加算税など)のことです。意図的でなくても、間違いがあれば課される可能性があるため注意が必要です。

事業とは無関係なプライベートな支出と判断される食事代や娯楽費の具体例

経費の大原則は「事業に関連する支出」であることです。そのため、家族や友人との食事代、趣味の映画鑑賞や旅行にかかる費用など、明らかにプライベートな支出は経費として認められません。

たとえ事業用のクレジットカードで支払ったとしても、その目的が事業と無関係であれば経費にはなりません。事業とプライベートの支出は、日頃から明確に区別して管理する意識を持つことが、誤った経費計上を防ぐ第一歩となります。

事業主自身の国民健康保険料や生命保険料は経費にならないその理由

個人事業主が支払う国民健康保険料や国民年金、ご自身の生命保険料などは、事業運営に直接必要な費用とは見なされないため、経費として計上することはできません。

これらは事業の経費ではなく、個人の生活に関わる支出(家計の支出)と位置づけられています。ただし、これらの支払いは経費にはなりませんが、確定申告の際に「社会保険料控除」や「生命保険料控除」として所得から差し引くことができます。

結果的に税金の負担を軽くする効果は同じですが、会計上の扱いが「経費」ではなく「控除」であるという違いを覚えておきましょう。

個人事業主が納める所得税や住民税などの税金は経費として認められない

個人事業主が納める所得税や住民税は、事業で得た利益(所得)に対して課される税金であるため、その利益を生み出すための費用である「経費」には該当しません。

経費を計算した後の利益に対してかかる税金なので、経費に含めてしまうと計算の辻褄が合わなくなってしまいます。ただし、事業に関連する税金は「租税公課」として経費にすることが認められています。

経費になる税金(租税公課) 個人事業税、固定資産税(事業用部分)、自動車税(事業用部分)、印紙税など
経費にならない税金 所得税、住民税、延滞税、加算税など

確定申告で慌てることがないように自宅サロンの経費を管理する具体的な手順を紹介

経費として認められるものを理解したら、次はそれらを日々きちんと管理していくことが大切になります。確定申告の時期になってから一年分のレシートを整理するのは本当に大変な作業です。

日頃から少しの手間をかけるだけで、確定申告の準備が格段に楽になります。ここでは、誰でも今日から実践できる、経費管理の具体的な3ステップをご紹介します。

ステップ1はどんな小さな支払いでもレシートや領収書を必ずもらい保管することから始める

  1. 必ずもらう:経費を計上するための絶対的な証拠となるのが、レシートや領収書です。どんなに少額な支払いでも、事業に関連するものであれば必ず受け取りましょう。
  2. 整理して保管する:月ごとに封筒を分けたり、ノートに日付順に貼り付けたり、自分に合った方法で整理するのが長続きのコツです。最近では、スマートフォンで撮影するだけで記録できるアプリも多数ありますので、活用するのも良いでしょう。
  3. 7年間保存する:これらの書類は、税法で7年間(青色申告の場合)の保存が義務付けられていますので、なくさないように注意が必要です。

ステップ2はプライベート用と事業用のクレジットカードや銀行口座を完全に分ける

自宅サロンの経費管理を劇的に楽にする最も効果的な方法が、事業専用のクレジットカードと銀行口座を用意することです。

事業に関する支払いをすべてそのカードと口座に集約すれば、明細を見るだけで何にいくら使ったのかが一目瞭然になります。プライベートの支出が混ざらないため、家事按分が必要な費用を除き、経費の拾い出しが非常に簡単になります。

これは、税務調査の際にも、事業のお金の流れを明確に説明できるという大きなメリットがあります。

ステップ3はやよいの青色申告オンラインなどの会計ソフトで日々の記録をつける

日々の経費を効率的に管理し、確定申告の書類作成を自動化するために、会計ソフトの導入を強くおすすめします。

特に「やよいの青色申告 オンライン」や「freee会計」、「マネーフォワード クラウド確定申告」といったクラウド会計ソフトは、初心者にも使いやすいように設計されています。

銀行口座やクレジットカードを連携させれば、取引データが自動で取り込まれ、簡単な操作で帳簿付けが完了します。家事按分の計算機能や、レシートをスマホで撮影して取り込む機能なども搭載されており、経費管理の手間を大幅に削減してくれます。

そもそもなぜ自宅サロンの経費を正しく計上することがこれほど重要なのか

経費の計上は、ただ面倒な作業というわけではありません。正しく経費を理解し、きちんと計上することには、サロン経営を安定させ、成長させていくための重要な意味があります。

この章では、経費計上がなぜ重要なのか、その具体的なメリットについて3つの側面から解説します。この理由を理解すれば、日々の経理作業へのモチベーションもきっと上がるはずです。

経費を漏れなく計上することで所得が減り結果的に支払う税金が安くなる節税効果

経費を計上する最大のメリットは、節税効果です。所得税や住民税は、売上から経費を差し引いた「所得(利益)」に対して課税されます。

つまり、経費として認められる支出を漏れなく計上すればするほど、課税対象となる所得金額が減り、結果として支払う税金の額を少なくすることができます。本来経費にできるはずの支出を見逃してしまうことは、余分な税金を支払うことと同じ意味になります。正しく経費を計上することは、手元に残るお金を最大化するための最も基本的で効果的な方法なのです。

正確な経費計上は将来の税務調査で指摘されないための重要なリスク対策

個人事業主のもとには、いつ税務署の税務調査が入るか分かりません。その際に必ずチェックされるのが、経費の計上が正しく行われているかという点です。

もし、根拠の曖昧な経費や、明らかにプライベートな支出を経費にしていた場合、それを指摘され、修正申告と追徴課税を求められることになります。日頃から領収書を整理し、会計ソフトで正確な帳簿を作成しておくことは、こうしたリスクに対する最大の防御策となります。自信を持って「この経費は事業に必要な支出です」と説明できる状態にしておくことが、安心して事業を続けるための土台となります。

日々の経費を把握することで自宅サロンの経営状況を正しく理解し改善できる

経費を管理することは、単なる税金対策に留まりません。毎月、何にどれくらいの費用がかかっているのかを正確に把握することで、自分のサロンの経営状態を客観的に見つめ直すことができます。

例えば、広告宣伝費に対して新規顧客がどれだけ増えたか、材料費の割合が高すぎないか、といった分析が可能になります。これにより、無駄なコストを削減したり、より効果的なことにお金を使ったりといった、経営改善のアクションに繋げることができるのです。経費管理は、サロンを成長させるための重要な羅針盤の役割を果たします。

自宅サロンの経費計上で税務署にしっかりと認められるための重要なポイント

経費を計上する際には、ただ帳簿につけるだけでなく、それが「税務署に客観的に認められる」という視点が欠かせません。

万が一の税務調査の際にも、堂々と説明できるような準備をしておくことが大切です。この章では、経費の正当性を証明し、安心して申告するための3つの重要なポイントを解説します。

家賃や光熱費などの家事按分の計算根拠を明確に説明できるように準備しておくこと

家事按分で経費を計上する場合、その計算根拠を明確に記録し、いつでも説明できるようにしておくことが極めて重要です。

例えば家賃であれば、サロンとして使っている部屋の面積と家全体の面積がわかる間取り図を保管しておきましょう。電気代であれば、なぜその事業使用割合にしたのか、例えば「営業時間を基に算出(平日〇時~〇時の8時間)」といったメモを残しておくと良いでしょう。客観的で合理的な根拠を示すことができれば、税務署もその経費計上を正当なものとして認めてくれます。

領収書の裏に誰と何のために使ったか具体的な目的をメモする習慣をつける

特に接待交際費や会議費のように、目的が分かりにくい支出については、領収書やレシートの裏面に具体的な内容をメモしておく習慣をつけましょう。

例えば、飲食店での支払いであれば「ネイル商材の〇〇社△△様と新デザインの打ち合わせのため」といった具体的な情報を書き加えるだけで、その支出が事業に関連するものであることの強力な証拠となります。この一手間が、後々の「これは何の支払いだったかな?」という悩みを解消し、税務調査での説明を容易にしてくれます。

経費かどうか自分で判断に迷ったときは税理士や税務署に相談することも大切

どれだけ調べても、どうしても経費になるかどうか判断に迷う支出が出てくることがあります。そうした場合、自分で安易に判断して誤った処理をしてしまうのが最も危険です。

一番確実なのは、税の専門家である税理士に相談することです。また、地域の税務署や商工会議所では、無料の税務相談会を実施している場合もあります。こうした専門家の助言を求めることで、安心して経費を計上し、本業であるサロン運営に集中することができます。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも重要な経営判断の一つです。

参考までに自宅サロンの経費でよく使われる勘定科目の一覧と具体例

経費を帳簿につける際には、「勘定科目」という費用の種類を示すラベルを使って分類します。初めてだと、どの費用をどの勘定科目にすれば良いか迷うことも多いでしょう。

ここでは、自宅サロンの経営でよく使われる代表的な勘定科目と、それに該当する費用の具体例を一覧でご紹介します。これを参考にすれば、日々の記帳がスムーズに進むはずです。

勘定科目 内容と具体例
消耗品費 使用するとなくなる物や、10万円未満の備品など。
例:マッサージオイル、ジェル、タオル、コットン、ボールペン、ファイル、電球、ティッシュ
地代家賃 事務所や店舗の家賃。自宅サロンでは家事按分した金額を計上。
例:自宅家賃の事業使用分
水道光熱費 電気、ガス、水道の料金。自宅サロンでは家事按分した金額を計上。
例:電気代、ガス代、水道代の事業使用分
通信費 電話、インターネット、郵便などの費用。自宅サロンでは家事按分する場合も。
例:スマホ通信料、ネット回線料、切手代、サーバー代
広告宣伝費 不特定多数に向けた宣伝広告の費用。
例:チラシ印刷代、Web広告費、ポータルサイト掲載料
接待交際費 取引先など特定の相手をもてなすための費用。
例:取引先との飲食代、お客様へのお中元・お歳暮
研修費 業務に必要な技術や知識を習得するための費用。
例:セミナー参加費、講習会受講料
新聞図書費 業務に必要な新聞、雑誌、書籍などの購入費用。
例:専門雑誌の購読料、経営関連の書籍代

自宅サロンのオーナー様から寄せられる経費に関するよくある質問とその回答

ここでは、実際に自宅サロンを運営されているオーナー様からよくいただく、経費に関する具体的な質問とその回答をQ&A形式でまとめました。

他の方々が疑問に思う点は、あなた自身の疑問でもあるかもしれません。確定申告への不安を解消するため、ぜひ参考にしてください。

Q1. サロンへの移動で使う軽自動車のガソリン代や駐車場代はどこまで経費になりますか?

A. 事業目的で自動車を使用した場合、そのガソリン代、駐車場代、高速道路代、自動車税、保険料などは経費として認められます。

ただし、これもプライベートでの利用と混在している場合は家事按分が必要です。例えば、走行距離を記録するアプリなどを使い、「仕事で走った距離 ÷ 総走行距離」で割合を算出して按分するのが最も合理的です。日々の利用状況(日付、行先、目的、走行距離)を記録しておくことが重要です。

Q2. 自宅サロンの開業前にかかった準備費用も経費として認められるのでしょうか?

A. はい、開業前にかかった費用も「開業費」という特別な資産として計上し、後から経費にすることが認められています。

具体的には、サロンの内装工事費、施術用のベッドや備品の購入費、事業について学ぶためのセミナー参加費、開業を知らせるためのチラシ印刷代などが該当します。これらの領収書は絶対に捨てずに保管しておきましょう。

開業費は、開業した年に全額経費にしても良いですし、数年間に分けて少しずつ経費にすることも可能です(任意償却)。利益の状況に合わせて柔軟に経費計上できるという大きなメリットがあります。

Q3. うっかり経費の計上を忘れてしまった場合は後からでも修正できますか?

A. はい、修正可能です。状況によって手続きが異なります。

もし確定申告の期限内に経費の計上漏れに気づいた場合は、期間内であれば何度でも申告書を再提出することができます。

もし申告期限を過ぎてから気づいた場合でも、「更正の請求」という手続きを行うことで、払い過ぎた税金を返してもらえる可能性があります。この手続きは、申告期限から5年以内に行うことができます。諦めずに、まずは管轄の税務署に相談してみましょう。

まとめ

ここまで、自宅サロンの経費について、認められるものの一覧から家事按分の具体例、日々の管理方法まで詳しく解説してきました。

最後に、この記事の最も重要なポイントを振り返り、あなたが明日から安心してサロン経営に打ち込めるように、大切なことをお伝えします。

自宅サロンの経費はどこまで認められるかその範囲を正しく理解することが重要です

自宅サロンの経費で最も大切なのは、「事業の売上を上げるために直接関連する支出かどうか」という基準を常に意識することです。

この基準に照らし合わせれば、多くの支出が経費にできるかどうかの判断がつきます。そして、家賃や光熱費などプライベートと混在する費用は、家事按分という合理的な方法できちんと分けることで、自信を持って経費に計上できます。曖昧な知識のまま処理するのではなく、正しい範囲を理解することが、健全なサロン経営の第一歩となります。

この記事で紹介した経費の具体例と認められるものの一覧を参考に日々の記帳を習慣にしましょう

経費管理は、まとめてやろうとすると大きな負担になります。この記事でご紹介した経費の具体例や一覧を参考に、毎日あるいは週に一度でも良いので、レシートを整理し、会計ソフトに入力する時間を設けることをおすすめします。

やよいの青色申告 オンラインのようなクラウド会計ソフトを使えば、スマートフォンからでも簡単に入力ができます。小さな習慣が、確定申告時期のあなたを助け、経営状態の把握にも繋がるのです。

経費の判断に迷ったときは一人で抱え込まず専門家の力を借りて安心してサロン経営を続けましょう

どんなに勉強しても、判断に迷うケースは必ず出てきます。そんなときは、決して一人で悩まないでください。

税理士や税務署、商工会議所など、あなたをサポートしてくれる専門家や機関はたくさんあります。正しい知識を身につけ、時には専門家の助けを借りながら、経費に関する不安を解消してください。

そして、心からやりがいを感じるサロン経営という素晴らしい仕事に、思い切り集中して取り組んでいきましょう。この記事が、その一助となれば幸いです。

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