せっかく綺麗にしてもらったネイルが、数日や1週間で浮いたり剥がれたりしてがっかりした…そんな悲しい経験はありませんか。
ネイルの持ちが悪い原因は、実は一つではありません。お客様ご自身の普段の生活習慣に原因がある場合もあれば、ネイリスト側の施術に改善の余地がある場合もあります。この記事では、ジェルネイル初心者の方にも分かりやすく、ネイルの持ちが悪い原因を「お客様側」と「ネイリスト側」の両方の視点から徹底的に解説します。
さらに、明日からすぐに実践できる具体的な改善策をステップ形式でご紹介しますので、ぜひ最後まで読んで、長持ちする美しいネイルを手に入れてください。
結論から解説!ネイルの持ちが悪い原因はお客様とネイリスト双方の協力で改善できる
多くの方が悩む「ネイルの持ちが悪い」という問題ですが、その原因は一概にどちらか一方にあるとは言えません。
お客様の指先の使い方や日々のケアの方法、そしてネイリストの技術や知識、この両方が複雑に絡み合ってネイルの持ちを左右します。大切なのは、原因を正しく理解し、お客様とネイリストが協力して改善策に取り組むことです。この章では、まずその全体像をお伝えします。
お客様自身の何気ない行動がネイルの持ちを悪くする原因になっているという事実
お客様ご自身では気づきにくいかもしれませんが、日常生活での何気ない行動がネイルの持ちを著しく悪くしているケースは非常に多いです。
例えば、パソコンのキーボードを爪先でカチカチと打つ癖や、荷物に貼られたシールを爪でカリカリ剥がすこと、シャンプーの際に頭皮を爪でゴシゴシ洗うことなどが挙げられます。これらの行動は、ネイルの先端に継続的な圧力をかけ、ジェルが自爪から浮き上がる「リフト」という現象を引き起こす直接的な原因となります。
ネイルは繊細なアクセサリーのようなものですから、「指の腹を使う」という意識を持つだけで、持ちは格段に変わってきます。
ネイリスト側の技術や知識不足がネイルの持ちが悪い原因を招いている可能性
もちろん、お客様の努力だけでは解決できない問題もあります。ネイリスト側の施術工程に原因がある場合も少なくありません。
例えば、施術前に行う最も重要な下準備である「プレパレーション」が不十分だと、爪の表面に目に見えない油分や水分、不要な角質が残り、ジェルがうまく密着しません。
また、お客様一人ひとりの爪の形や厚み、反り具合、生活習慣に合わせたジェル選びができていない場合も、持ちの悪さに繋がります。優秀なネイリストは、お客様の爪の状態を正確に見極め、最適な材料と技術で施術を行うため、ネイルの持ちが格段に良くなります。
お客様とネイリストのコミュニケーション不足が原因で持ちが悪いネイルが生まれる
意外と見落とされがちなのが、お客様とネイリストの間のコミュニケーション不足です。
お客様が普段どのようなお仕事をしているか、指先をよく使う趣味があるか、水仕事の頻度はどのくらいかといった情報は、ネイリストが最適な施術プランを立てる上で非常に重要です。
例えば、頻繁に水仕事をするお客様には、耐水性の高いジェルを選んだり、先端を少し厚めにコーティングするなどの工夫ができます。お客様側からも積極的にご自身の生活スタイルを伝えることで、ネイリストはよりパーソナライズされた施術を提供でき、結果的にネイルの持ちが改善されるのです。
お客様側で考えられるネイルの持ちが悪くなる主な原因と生活習慣
ここでは、お客様ご自身の生活の中で、知らず知らずのうちにネイルの持ちを悪くしてしまっている可能性のある具体的な行動を掘り下げていきます。
ご自身の普段の行動と照らし合わせながら、改善できる点がないかチェックしてみてください。小さな意識の変化が、ネイルを長持ちさせる大きな一歩となります。
指先を酷使する習慣が原因でネイルの先端から剥がれてしまう問題とその改善策
ネイルが剥がれる原因として最も多いのが、指先への物理的な衝撃です。爪は便利な道具ではありません。
特に以下のような行動は、ネイルの先端に強い負荷をかけ、ジェルを剥がす原因になるため絶対に避けるべきです。
- 缶のプルタブを爪で開ける
- ダンボールのテープを爪で剥がす
- シールの値札などを爪でカリカリする
- 鍵やアクセサリーの金具を爪で操作する
改善策としては、専用のオープナーやカッターといった道具を必ず使うように心がけることです。
また、スマートフォンの操作やキーボードのタイピングも、指の腹を使うように意識するだけで、先端への負担を大幅に減らすことができます。今日から「爪を道具にしない」と決めることが大切です。
頻繁な水仕事や長時間の入浴が原因でネイルが浮きやすくなるお客様側の問題
ジェルネイルは水分に弱いという性質を持っています。爪は水分を含むと膨張し、乾くと収縮するという特徴があるためです。
この伸縮を繰り返すことで、硬化したジェルと自爪の間にわずかな隙間が生まれ、そこからリフトしやすくなります。そのため、食器洗いやお風呂掃除などの水仕事が多い方や、長時間の入浴やサウナが好きな方は、ネイルがふやけて浮きやすくなるので注意が必要です。
改善策として、水仕事をする際は必ずゴム手袋を着用することを徹底してください。これにより、洗剤による乾燥や水分によるふやけからネイルを保護できます。入浴後も、指先をタオルで優しく押さえるようにして、しっかりと水分を拭き取ることが大切です。
爪の乾燥が原因でネイルの持ちが悪くなるためお客様に意識してほしい保湿ケア
爪も肌と同じように乾燥します。爪が乾燥すると、硬くなって柔軟性がなくなり、少しの衝撃で割れたり欠けたりしやすくなります。
また、乾燥した爪は縮むため、密着していたジェルとの間に隙間が生まれ、リフトの原因にもなります。この問題を改善するためには、毎日の保湿ケアが不可欠です。
特におすすめなのが、ネイルオイルを使ったケアです。例えば、OPIの「プロスパ ネイル&キューティクルオイル」や、ukaの「ネイルオイル」のようなペンタイプの商品は、持ち運びやすく手軽に保湿できるので人気があります。一日に数回、爪の根元にある甘皮部分にオイルを塗り、優しくマッサージする習慣をつけましょう。
ネイリスト側の施術が原因でネイルの持ちが悪くなってしまう技術的な問題点
お客様がどんなに気をつけていても、ネイリストの施術自体に問題があればネイルは長持ちしません。
ここでは、ネイリスト側の技術的な観点から、ネイルの持ちを悪くしてしまう可能性のあるポイントを解説します。良いサロンやネイリストを見極めるための知識としても役立ちますので、ぜひ参考にしてください。
ネイルの持ちを左右する下準備サンディングや甘皮処理が不十分なネイリスト側の原因
ネイル施術の中で最も重要と言っても過言ではないのが、ジェルを塗る前の下準備、通称「プレパレーション」です。
この工程が不十分だと、どんなに良いジェルを使ってもすぐに剥がれてしまいます。プレパレーションには、爪表面の油分・水分除去、不要な甘皮処理、ジェルの密着を良くするためのサンディング(爪表面を軽く削ること)などが含まれます。
このサンディングが甘かったり、逆に行いすぎて爪を傷つけてしまったり、甘皮の処理が不完全で皮膚の上にジェルが乗ってしまうと、そこから空気が入り込み、リフトの直接的な原因となります。
お客様の爪質を無視したベースジェルの選択がネイルの持ちが悪い原因になっている
お客様の爪は一人ひとり全く違います。薄くて柔らかい爪、硬くて厚い爪、乾燥しやすい爪、水分や油分が多い爪、平らな爪、強く反っている爪など様々です。
プロのネイリストは、これらの爪質を正確に見極め、それに合ったベースジェルを選ぶ必要があります。
例えば、爪が薄くダメージを受けやすいお客様に対し、密着力を高めるために酸性の強いプライマーやベースジェルを使用すると、かえって爪を傷めてしまい、持ちが悪くなることがあります。このような場合は、爪への負担が少ないパラジェルのようなサンディング不要の製品や、弱酸性のジェルを選ぶといった改善策が求められます。自分の爪に合ったジェルを選んでくれているかは、非常に重要なポイントです。
ジェルの塗り方が原因でお客様のネイルが根本やサイドから浮いてしまう問題
ジェルの塗り方一つで、ネイルの持ちは大きく変わります。
よくある失敗例が、ジェルを甘皮やサイドの皮膚に付着させたまま硬化してしまうことです。皮膚の上にジェルが乗ると、爪が伸びてきたときに皮膚との段差からジェルが引っ張られ、そこから浮き上がってしまいます。
ネイリストは、皮膚に付かないように細心の注意を払いながら、爪の根元ぎりぎりまで美しく塗る技術が求められます。また、爪の先端(エッジ)部分をしっかりとジェルでコーティングすることも重要で、この工程を怠ると先端からの剥がれの原因になります。
お客様が今日から実践できるネイルの持ちを良くするための具体的な改善策
原因がわかったら、次はいよいよ具体的な改善策です。
ここでは、お客様ご自身が日常生活の中ですぐに始められる、ネイルを長持ちさせるためのアクションプランをご紹介します。どれも簡単なことばかりですので、ぜひ習慣にしてみてください。
長持ちネイルのための3つのアクション
1. とにかく保湿!オイルとクリームをセットで使う
2. 指の腹を使う意識を徹底する
3. 異常があれば放置せず、すぐにサロンに相談する
ネイルオイルとハンドクリームを駆使してお客様ができる究極の保湿ケア改善策
ネイルの持ちを良くするための最も簡単で効果的な改善策は、徹底した保湿です。常にネイルオイルとハンドクリームをセットで持ち歩き、手を洗った後や乾燥が気になった時にこまめにケアする習慣をつけましょう。
まず、ネイルオイルを爪の根元やサイドの溝に垂らし、指で優しく馴染ませます。おすすめはスポイトタイプの「アンドネイル オーガニックブレンドオイル」や、ロールオンタイプの「無印良品 ネイルケアオイル」など、ライフスタイルに合わせて選べます。オイルが浸透したら、その上からハンドクリームで蓋をするように手全体を保湿します。
特にロクシタンの「シア ハンドクリーム」のような保湿力の高い製品は、乾燥から指先をしっかり守ってくれます。オイルで栄養を与え、クリームで潤いを閉じ込める、このセット使いが最強です。
指の腹を使う意識を持つことでネイルの持ちが悪い原因を根本から改善する
日常生活の動作を「爪先」から「指の腹」で行うように意識を変えるだけで、ネイルへの負担は劇的に減ります。
例えば、電気のスイッチを押す、エレベーターのボタンを押す、引き出しを開けるといった動作を、今日から指の関節(第二関節)や指の腹で行うようにしてみてください。
最初は意識しないと難しいかもしれませんが、習慣になれば無意識にできるようになります。これは、ネイルの先端を物理的な衝撃から守るための最も基本的で重要な改善策です。
ネイルに異常を感じた際にお客様がすぐにできる応急処置とサロンへの連絡
もしネイルの先端が少し浮いてしまったり、小さな亀裂が入ってしまったりした場合は、放置しないことが重要です。
放置すると、浮いた部分から水分や雑菌が入り込み、グリーンネイル(爪のカビ)などのトラブルの原因になります。また、浮いた部分が衣服や髪に引っかかり、さらに大きく剥がれて自爪を傷つける可能性もあります。
応急処置としては、ネイル専用のグルー(接着剤)で一時的に固定するか、上からトップコートを塗って保護し、できるだけ早く施術してもらったネイルサロンに連絡して相談しましょう。自分で無理に剥がすのは絶対にやめてください。
良いネイリストを見極めるためにお客様がサロンで確認すべきポイント
ネイルを長持ちさせるには、信頼できるネイリストを見つけることが不可欠です。
しかし、何を基準に選べば良いのか分からない方も多いでしょう。ここでは、施術を受ける際に、お客様が良いネイリストかどうかを見極めるためのチェックポイントをご紹介します。
最初のカウンセリングでお客様の生活習慣を丁寧に聞いてくれるかという改善策の第一歩
優れたネイリストは、施術を始める前に必ず丁寧なカウンセリングを行います。ただデザインの希望を聞くだけでなく、お客様のライフスタイルについて詳しく質問してくれるはずです。
- お仕事内容(PC作業、水仕事の有無など)
- 利き手や指の使い方の癖
- 趣味(ガーデニング、スポーツ、楽器演奏など)
- 前回のネイルの持ちや気になった点
これらの情報から、お客様の指先の使い方を予測し、それに合わせたジェルの種類や塗り方、デザインを提案してくれるネイリストは信頼できます。逆に、カウンセリングがほとんどなく、すぐに施術を始めようとする場合は少し注意が必要かもしれません。
お客様の爪の状態をしっかり見てネイルの持ちが悪くなる原因を説明してくれるか
カウンセリングと同時に、ネイリストがお客様の自爪の状態をしっかりと観察しているかも重要なポイントです。
爪の厚み、形、しなり具合、乾燥具合、ダメージの有無などをプロの目でチェックし、「お客様の爪は少し薄いので、負担の少ないジェルを使いましょう」「乾燥気味なので、保湿をしっかりすると持ちが良くなりますよ」といったように、爪の状態に基づいた具体的な説明やアドバイスをしてくれるネイリストは、知識と経験が豊富である証拠です。
施術後のアフターケアや次回の付け替え時期について具体的なアドバイスがあるか
施術が終わった後も、プロのネイリストはお客様のネイルライフをサポートしてくれます。
「今回は先端を少し厚めに仕上げたので、いつもより長持ちすると思いますが、3週間から4週間後を目安に付け替えに来てくださいね」「ご自宅ではこのようにオイルで保湿してください」など、具体的なアフターケアの方法や、最適な付け替え時期を提案してくれるかどうかも確認しましょう。
お客様と二人三脚で美しいネイルを維持しようという姿勢が見えるネイリストは、長期的に付き合える良いパートナーになるでしょう。
ネイリスト側がお客様のネイルを長持ちさせるために見直すべき下準備の改善策
ここからは、ネイリスト向けのより専門的な内容になります。
お客様の満足度を上げ、リピートに繋げるためには、基本に立ち返り、施術工程一つひとつを見直すことが重要です。まずは、ネイルの持ちの土台となる下準備(プレパレーション)の改善策から見ていきましょう。
お客様の爪を傷つけないファイリングと適切なサンディングで密着度を高める改善策
プレパレーションの質は、ネイルの持ちを決定づける最も重要な要素です。特にサンディングは、やりすぎればお客様の爪を薄くしてしまい、逆に持ちを悪くする原因となります。
使用するファイルのグリット数(目の粗さ)は、180グリットから240グリット程度の目の細かいものを選び、爪表面を優しく撫でるように一定方向に動かすのが基本です。(数字が大きいほど目が細かいことを意味します。)
爪の生え際やサイドのキワまで、削り残しがないように丁寧に行うことで、ジェルの密着度は格段に向上します。お客様の爪の状態に合わせて、サンディング不要のパラジェルなどを導入するのも有効な改善策です。
油分除去と水分除去を徹底しネイルの持ちが悪い原因を根本から断つ改善策
爪の表面には、目に見えない油分や水分が付着しており、これがリフトの大きな原因となります。
プレパレーションの際には、まずネイルプレップやワイプにエタノールを含ませ、爪の表面だけでなく、サイドの溝(サイドウォール)や爪の裏側(ハイポニキウム)まで丁寧に拭き取ることが重要です。特に爪の根元の甘皮周りは油分が溜まりやすいので念入りに行います。
この工程を丁寧に行うだけで、ベースジェルの定着が劇的に改善されます。例えば、ibdの「クレンザープラス」のような専用のクリーナーを使用すると、より効果的に油分と未硬化ジェルを除去できます。
ルースキューティクルを完璧に除去するマシンケア導入というネイリスト側の改善策
甘皮(キューティクル)周りの処理も非常に重要です。特に爪表面に張り付いている薄い皮「ルースキューティクル」が残っていると、その上にジェルを塗ってもすぐに浮いてしまいます。
手作業でのプッシュアップやニッパー処理に加えて、ネイルマシンを使ったドライケアを導入するのも効果的な改善策です。
マシンを使えば、手作業では取りきれない細かなルースキューティクルを効率的かつ綺麗に除去でき、ジェルの定着率を高めることができます。ただし、マシンの扱いには専門的な知識と技術が必要なので、必ずセミナーなどで正しい使い方を学んでから導入しましょう。
ネイリスト必見お客様の爪質に合わせたベースジェルの選び方と改善策
ベースジェルは、自爪とカラージェルを繋ぐ接着剤のような役割を果たします。
このベースジェルの選択が、お客様の爪質と合っていなければ、持ちの良さは期待できません。ここでは、様々なお客様に対応するためのベースジェルの選び方と、その改善策について解説します。
爪が薄く柔らかいお客様のネイルの持ちを改善するノンサンディングジェルの活用
爪が薄く、ダメージを受けやすいお客様には、爪表面を削るサンディングが不要な「ノンサンディングジェル」が最適です。
代表的な製品としては、多くのサロンで導入されている「パラジェル」が有名です。パラジェルは爪の表面層(トッププレート)を削らないため、自爪への負担を最小限に抑えながら、高い密着力を実現します。
爪が傷んでいて持ちが悪くなっているお客様や、健康な爪を維持したいというお客様に対して提案することで、顧客満足度を大きく向上させる改善策となります。
反り爪や凹凸のある爪のお客様に対応するためのフィルイン向けベースジェルの選択
反り爪のお客様や、爪の表面に凹凸があるお客様の場合、通常のテクスチャーのベースジェルでは隙間ができてしまい、持ちが悪くなることがあります。
このようなケースでは、少し粘度が高く、爪の形を補正しながら塗布できるベースジェルが有効です。例えば、KOKOISTの「プラチナボンドデュオ」のような製品は、密着力と強度を両立し、フィルイン(ベースを一層残して付け替える技法)にも適しているため、凹凸をカバーしながら美しいフォルムを形成できます。
お客様の爪の形を理想的なアーチに整えることで、強度が増し、持ちが飛躍的に改善されます。
水仕事が多いお客様や汗をかきやすいお客様のための密着強化型ベースジェルの改善策
水仕事が多い主婦の方や、スポーツなどで汗をかきやすいお客様は、水分や油分でネイルがリフトしやすい傾向にあります。
このようなお客様には、耐水性や密着力に特化したベースジェルを選ぶのが改善策の鍵です。
プリジェルの「エクセレントベース(a)」や、ベトロの「プロテクトクリアFUJI」などは、密着力の高さに定評があり、リフトしやすいお客様の救世主となり得ます。カウンセリングでお客様の生活習慣をしっかりヒアリングし、複数のベースジェルの中から最適なものを選択・提案できることが、プロのネイリストとしての腕の見せ所です。
トップジェルの塗り方一つで変わるネイルの持ちを良くするネイリスト側の改善策
施術の最終工程であるトップジェルも、ネイルの持ちと輝きを左右する重要な役割を担っています。
ただ塗るだけでなく、強度と美しさを両立させるためのテクニックがあります。ネイリストとしてワンランク上を目指すための、トップジェルの改善策をご紹介します。
ネイルの強度を高めるフォルム形成とハイポイントを作るネイリストの技術的改善策
トップジェルを塗る際は、ただ表面をコーティングするだけでなく、ネイル全体の強度を高める「フォルム」を意識することが重要です。
特に、爪の中央部分にぷっくりとした厚みの頂点「ハイポイント」を作ることで、爪のストレスポイント(最も負荷がかかる部分)が補強され、折れにくく衝撃に強いネイルに仕上がります。
筆でジェルを操作し、光の筋がまっすぐ通るような滑らかな曲線を形成する技術は、ネイルの持ちと美しさを両立させるための必須スキルです。このフォルム形成を意識するだけで、お客様のネイルの持ちは劇的に改善されます。
爪の先端をしっかりコーティングするエッジ塗りの徹底という改善策
ネイルが剥がれる原因の多くは、先端からのリフトです。これを防ぐために、トップジェルを塗る際には必ず爪の先端、つまり断面部分である「フリーエッジ」をしっかりとコーティングする作業が不可欠です。
この工程を怠ると、どんなに丁寧に施術しても、指先を使った際に先端からジェルが剥がれやすくなります。
ベース、カラー、トップの各工程でエッジを塗り込むことを徹底するだけで、先端の強度が格段に上がり、持ちが悪いという悩みを改善できます。
お客様のライフスタイルに合わせたトップジェルの硬さの選択と改善策
トップジェルには、ガラスのような硬い仕上がりになる「ハードタイプ(ノンワイプ)」と、柔軟性があり衝撃を吸収しやすい「ソフトタイプ」があります。
例えば、デスクワーク中心で指先への衝撃が少ないお客様には、傷がつきにくく艶が長持ちするハードタイプのトップジェルが適しています。一方で、指先をよく使うお仕事や、爪が柔らかいお客様には、柔軟性のあるソフトタイプのトップジェルの方が、衝撃を逃して亀裂が入りにくい場合があります。
キャンジェルの「ノンワイプトップジェル」シリーズのように、様々な硬さや仕上がりの製品を揃え、お客様に合わせて使い分けることが、最適な改善策と言えるでしょう。
お客様へのカウンセリングでネイルの持ちを改善するためにネイリストが聞くべきこと
技術や材料と同じくらい、お客様との対話、つまりカウンセリングがネイルの持ちを改善する上で重要です。
お客様の情報を深く知ることで、よりパーソナライズされた施術が可能になります。ここでは、ネイリストがカウンセリングで聞くべき具体的な質問項目を挙げます。
お客様の職業や趣味から指先の使い方を予測しネイルの持ちが悪くなる原因を探る
「どのようなお仕事をされていますか?」という質問は基本中の基本です。
例えば、パソコンを多用する事務職の方、水に触れる機会の多い美容師や飲食店勤務の方、重いものを持つことの多い保育士の方など、職業によって指先の使い方は全く異なります。また、「何か趣味はありますか?」と聞くことで、ガーデニングやスポーツ、楽器演奏など、ネイルに影響を与えうる活動がないかを確認できます。
これらの情報から、補強すべき指や、避けるべきデザインなどを提案する改善策に繋がります。
過去のネイル経験からお客様が感じていた持ちが悪い原因や悩みをヒアリングする
「以前ネイルをされていた時、何か気になることはありましたか?」と尋ねることで、お客様が抱えている潜在的な悩みや、過去のネイルの持ちが悪かった原因を探ることができます。
「いつも右手の薬指だけが取れやすい」「根本から浮くことが多い」といった具体的な情報を得られれば、その指だけ補強を厚くしたり、甘皮ケアをより丁寧に行ったりといったピンポイントな改善策を講じることが可能です。
お客様の過去の経験は、今回の施術を成功させるための貴重なヒントになります。
お客様の爪に関する悩みやアレルギーの有無を確認し安全な施術に繋げる
「ご自身の爪で何か気になっていること(薄い、割れやすいなど)はありますか?」という質問も重要です。
お客様の自己評価とネイリストの視点をすり合わせることで、より的確な施術方針を立てられます。さらに、「これまでジェルネイルでアレルギーが出たことはありますか?」という確認は、お客様の安全を守る上で絶対に欠かせません。
アレルギーの既往歴があるお客様には、アレルギー対応のジェルを使用するなど、適切な対応を取る必要があります。こうした細やかな配慮が、お客様との信頼関係を築き、結果的にネイルの持ちの改善にも繋がります。
お客様とネイリストが協力して実現する長持ちネイルのためのアフターケア改善策
美しいネイルを長く楽しむためには、サロンでの施術だけでなく、ご自宅での日々のケアが非常に重要です。
施術の最後に、ネイリストからお客様へ、具体的なアフターケアの方法を伝えることで、お客様のネイルライフはより良いものになります。ここでは、お客様とネイリストが協力して行えるアフターケアの改善策を紹介します。
ネイリストからお客様へ伝えるべき具体的な保湿ケアの方法とおすすめ商品
施術の最後に、「お家に帰ってからのケアがとても大切です」と前置きし、具体的な保湿方法を伝えましょう。
「このOPIのネイルオイルのように、ペンタイプだとポーチに入れて持ち運びやすいですよ。一日に3回から5回、爪の根元に塗ってあげてくださいね」といったように、具体的な商品名を挙げて説明すると、お客様も行動に移しやすくなります。
保湿の重要性と簡単な方法を伝えることで、お客様のセルフケア意識を高め、ネイルの持ちを良くする改善策に繋がります。
ネイルが浮いたり欠けたりした際のNG行動と正しい対処法をお客様に伝える
万が一トラブルが起きたときのために、正しい対処法をお客様に伝えておくこともネイリストの責任です。
「もしジェルが浮いてきても、絶対に無理に剥がさないでください。自爪の表面ごと持っていかれてしまいます」と、NG行動とそのリスクを明確に伝えます。
その上で、「少し浮いた程度であれば、上からトップコートを塗って保護して、なるべく早くサロンにご連絡ください。無料でお直しできる期間もありますので」と、お客様を安心させる言葉を添えることで、二次被害を防ぎ、サロンへの信頼感を高めることができます。
お客様に最適な付け替え周期を提案し次回の予約を促すことで爪の健康を守る
ネイルの付け替え周期は、一般的に3週間から4週間が理想とされています。
この期間を大幅に超えると、根元が伸びてネイルの重心が先端に移動し、バランスが悪くなって折れたり浮いたりするリスクが高まります。お客様の爪の伸びる速さやライフスタイルに合わせて、「お客様の場合は、だいたい4週間後くらいがベストなタイミングですね」と具体的な周期を提案しましょう。
そして、「爪の健康のためにも、定期的なメンテナンスをおすすめします。次回のご予約はいかがなさいますか?」と、自然な流れで次回の予約を促すことが、お客様の爪を守り、サロンの安定経営にも繋がる最良の改善策です。
まとめ:ネイルの持ちが悪い原因を理解しお客様とネイリストで改善策を実行しよう
この記事では、ネイルの持ちが悪い原因を、お客様側とネイリスト側の両面から深掘りし、具体的な改善策をステップ形式でご紹介しました。
最後に、長持ちする美しいネイルを維持するための最も重要なポイントをまとめます。
ネイルの持ちが悪い原因は一つではなくお客様とネイリスト双方の努力が必要
ネイルの持ちが悪いという問題は、お客様の生活習慣、ネイリストの技術、そして両者のコミュニケーションという、複数の要因が絡み合って発生します。
お客様は指先の使い方や保湿ケアを見直し、ネイリストは常に技術と知識をアップデートし、一人ひとりに合った丁寧な施術を心がけることが大切です。どちらか一方だけが頑張るのではなく、お互いが協力し合うことで、初めて理想的な長持ちネイルが実現します。
お客様は正しい知識でセルフケアを行い信頼できるネイリストを見つけることが改善策の鍵
お客様ができる最も効果的な改善策は、ネイルオイルやハンドクリームによる日々の保湿と、指の腹を使う意識を持つことです。
そして、ご自身のことを親身に考えてくれる、信頼できるネイリストを見つけることが何よりも重要です。丁寧なカウンセリングや、あなたの爪質に合った提案をしてくれるネイリストは、あなたのネイルライフを豊かにしてくれる最高のパートナーとなるでしょう。
ネイリストはお客様との対話を重視し最高の技術を提供し続けることが責務
ネイリストは、お客様の満足度を最大限に高めるため、技術の研鑽を怠ってはいけません。
基本となるプレパレーションから、フォルムを意識したコーティングまで、全ての工程において完璧を目指しましょう。そして、技術と同じくらいカウンセリングを重視し、お客様一人ひとりのライフスタイルに寄り添った施術を提案することが、リピートに繋がり、持ちが悪いという悩みを根本から解決する道筋となります。
この記事が、お客様とネイリスト双方にとって、より良いネイルライフを送るための一助となれば幸いです。
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