「自宅サロンを始めたけれど、友達を招待するときの価格設定はどうしよう…」「お客様として来てもらうと、なんだかやりにくいな…」と感じていませんか。
親しい友達だからこそ、お金の話はしづらく、つい公私混同してしまいがちです。しかし、いくつかのポイントを押さえて、最初にしっかりとルールを決めるだけで、その悩みは驚くほど簡単に解消できます。
この記事では、サロンを開業したばかりの初心者の方でもすぐに実践できるよう、自宅サロンで友達をお客様として迎える際の具体的な価格設定の方法から、お互いが気持ちよくいられる付き合い方の秘訣まで、豊富な事例を交えてステップごとに詳しく解説します。
大切な友達との関係を壊さず、あなたのサロンの熱烈なファンになってもらうための具体的な方法を、一緒に学んでいきましょう。
【結論】自宅サロンで友達とのやりにくい関係を生まないためには明確なルール作りが全てです
なぜ、あれほど仲の良かった友達をお客様にすると、途端にやりにくさを感じてしまうのでしょうか。その根本的な原因は、あなたと友達との間に「サロンオーナーとお客様」という、ビジネス上の明確なルールが存在しないからです。
最初にしっかりとしたルールを決めて、それを誠実に共有することで、価格設定の悩みや今後の付き合い方に関する不安のほとんどを解消できます。ここでは、サロンワークを始める前に、絶対に決めておくべき最も重要なルールについて具体的にお伝えします。
最初に決めておくべき3つのルール
- 心構えのルール:自分はプロのオーナーであると覚悟を決める。
- 価格のルール:サロンの基本方針として正規料金をいただくことを明確にする。
- 予約のルール:予約やキャンセルは他のお客様と全く同じ条件にする。
友達をお客様として迎える前にあなたが心に決めておくべき最も大切なこと
まず、他の何よりも大切なのは、あなた自身が「プロのサロンオーナーである」という強い意識を持つことです。
友達だからといって「練習台になってもらうから、まあいっか」という気持ちで接してしまうと、その空気感は必ず相手に伝わり、なあなあな関係が始まってしまいます。
あなたは趣味ではなく、一人の事業主として、ビジネスとして自宅サロンを運営しているという強い意志を持ちましょう。
このプロとしての心構えが、価格設定や接客態度、トラブルへの対応など、すべての行動の土台となります。
お客様としてお迎えする以上、たとえ親友であっても他のお客様と全く同じように、最高のサービスを提供し、大切に扱うという覚悟を決めること。それが、良好な関係を築くための全ての始まりです。
価格設定で絶対に後悔しないために最初に友達へ伝えるべきサロンの基本方針
自宅サロンを開業したことを友達に報告する際には、喜びや意気込みと同時に、サロンの基本方針をはっきりと伝えましょう。
例えば、「これからプロとして本格的にやっていきたいから、お客様はどなたでも正規料金でご案内させていただいているんだ」というように、あなたのビジネスに対する真剣な姿勢を見せることが非常に重要です。
このとき、事前に準備しておいた料金表も一緒に見せると、口頭での説明よりも遥かに説得力が増し、あなたの本気度が伝わります。
最初にこの方針を明確に伝える勇気を持つことで、友達もあなたを「サロンのオーナー」としてきちんと認識し、後の価格交渉や「いくらにすればいい?」といった気まずい会話を未然に防ぐことができるのです。
予約やキャンセルに関するルールを他の一般のお客様と全く同じに設定する重要性
予約やキャンセルに関するルールも、他のお客様と完全に同じ条件に設定し、それを事前に伝えておくことが不可欠です。
友達だからといって個人のLINEやDMで予約を受け付けてしまうと、「言った・言わない」のトラブルや、予約を忘れられたり、気軽にドタキャンされたりする原因になります。
予約は、個人の連絡先ではなく、STORES 予約やReserviaといった誰が使っても公平な予約システムを通してもらいましょう。
また、キャンセルは前日までとし、当日のキャンセルはキャンセル料が〇%発生するなど、具体的なルールを決め、それも予約ページに明記します。
ビジネスとしての明確な線引きをすることが、お互いの不要なストレスを減らし、健全な関係を保つための鍵となります。
そもそもなぜ自宅サロンで友達をお客様にするとやりにくいと感じてしまうのかその原因を解説
多くの自宅サロンオーナーが一度は経験する「友達をお客様にするときの、あの独特のやりにくさ」。その感情には、いくつかの共通した原因が存在します。
なぜやりにくいと感じるのか、その原因を正しく理解することで、具体的な対策を立てやすくなります。ここでは、やりにくさを生み出している私たちの心理的な背景や、陥りがちな状況について深く掘り下げていきましょう。
お金の話がタブー視されがちなお金のブロックが友達との価格設定を難しくする
日本の文化的な背景として、親しい間柄でお金の話をすることは、どこか気まずく、遠慮してしまう傾向が根強くあります。
特に、大切な友達に対して正規のサービス料金を請求することに、「申し訳ない」「お金にがめついと思われたくない」といった罪悪感や恐怖心を感じてしまうのです。
この無意識の心理的なブレーキ(お金のブロック)が、適正な価格設定を妨げ、結果的に「タダ働き」や「材料費だけのボランティア」に近い状況を生み出してしまいます。
それでは、あなたが提供するサービスの価値を自ら貶めているのと同じであり、やがてはあなたが疲弊し、サロン経営そのものが立ち行かなくなる大きな原因となります。
プライベートとビジネスの境界線が曖昧になることで生まれるコミュニケーションのズレ
普段の生活では対等な立場の友達が、サロンの空間では「サービスを提供する側(オーナー)」と「サービスを受ける側(お客様)」という非対称な関係になります。
この立場の切り替えが自分も相手も上手くできないと、コミュニケーションに様々なズレが生じてきます。
例えば、お客様としてリラックスしに来た友達に対して、あなたが仕事の愚痴や家庭の悩みを延々と話してしまったり、逆に、施術に集中したいのに友達がプライベートの深刻な相談を持ちかけてきたり。
このような境界線の曖昧さが、お互いにとって「なんだか気を使う」「今日は楽しめなかった」という不満につながり、付き合い方のやりにくさに直結するのです。
友達だから許されるだろうという双方の甘えがトラブルの温床になるという現実
やりにくさの最大の原因は、お互いの心の中に生まれる「友達だから」という甘えの感情です。
お客様である友達側には「友達だから、少しぐらい予約時間に遅れても大丈夫だろう」「友達だから、ちょっとくらい無理なわがままも聞いてくれるはず」といった甘えが生まれやすくなります。
一方で、サービスを提供するあなた自身にも「友達だから、今日のネイルの出来がイマイチでも文句は言われないだろう」「友達だから、少し手を抜いてもバレないか」という恐ろしい甘えが生まれてしまう危険性があります。
こうした双方の「友達だから」という甘えが、遅刻やドタキャン、サービスの質の低下といった具体的なトラブルを引き起こし、やがては積もり積もって大きな不満となり、大切な関係性に修復不可能なヒビを入れる原因となるのです。
友達だからと甘く見てはいけない自宅サロンの価格設定で守るべき鉄則を学ぶ
価格設定は、あなたのサロン経営の根幹を支える最も重要な要素です。
友達だからという感情的な理由で安易に価格を下げてしまうと、後々自分の首を絞めることになり、長期的な経営が困難になります。
ここでは、あなたのサロンを健全に運営し、友達との良好な関係を未来にわたって維持するために、価格設定において絶対に守るべき鉄則について解説します。
- 鉄則1:友達でも正規料金をいただく。
- 鉄則2:割引は「キャンペーン」として公平に行う。
- 鉄則3:コストを計算し、利益を確保できる価格にする。
原則として友達でも他のお客様と同じ正規料金をいただくという基本スタンスの重要性
最も重要かつ、絶対に揺らいではいけない鉄則は、友達であっても他のお客様と全く同じ正規料金をいただくことです。
これは、あなたの提供するサービスの価値、費やしてきた時間、そして技術を、あなた自身が認めて尊重する行為に他なりません。
もし安易に友達価格を設定してしまうと、それは「私のサービスは、正規料金を払っていただくほどの価値はありません」と自ら宣言しているようなものです。
また、万が一、他のお客様がその事実を知った場合、「えこひいきされている」という不公平感から、あなたへの信頼を失い、顧客離れを引き起こす可能性も十分にあります。
一貫した価格設定は、あなたのプロとしての信頼性を守るための砦なのです。
どうしても割引したい場合に活用できるオープン記念や期間限定キャンペーンの賢い使い方
それでも、サロンのオープン当初など、日頃の感謝の気持ちを特別な形で示したい、という場合もあるでしょう。
その際は、「友達価格」という不公平で曖昧な形は絶対に避け、「オープン記念キャンペーン」や「期間限定モニター価格」といった、他のお客様にも平等に適用される公平な名目で割引を提供しましょう。
例えば、「オープン記念として、今月中にご予約いただいた方は、ご新規様・リピーター様問わず全員20%オフ」といった形です。
これにより、友達だけを特別扱いしているという印象を与えずに、スマートに感謝の気持ちを伝えることができます。
これは、友人関係にもビジネスにも配慮した、非常に賢いやり方です。
材料費や光熱費などのコストを正確に計算し適正な価格設定をすることの必要性
あなたは自宅サロンを運営するために、どれだけのコストを支払っているか正確に把握していますか。
自宅サロンとはいえ、家賃や水道光熱費、ネイルのジェルやアロマオイルなどの材料費、技術を習得するために投資したセミナー代や教材費など、様々なコストがかかっています。
これらのコストを一つひとつ正確に計算し、そこにあなたの技術料という利益を上乗せした価格設定をしなければ、ビジネスとして成り立ちません。
友達だからと安易に値引きをしてしまうと、最悪の場合、施術すればするほど赤字になるという本末転倒な事態に陥ります。
「なんとなく」や「申し訳ないから」といった感情ではなく、数字に基づいた冷静な価格設定をすることが、あなたのサロンを長く、楽しく続けるための絶対的な鉄則です。
お客様である友達に気まずい思いをさせないスマートな価格設定の伝え方と具体例
「正規料金をいただく!」と心に決めても、それをどう伝えれば角が立たないか、悩む方も多いでしょう。
しかし、安心してください。伝え方一つで、相手の受け取り方は大きく変わります。
ここでは、友達に不快な思いをさせることなく、スムーズに価格設定を理解してもらい、むしろ「応援したい!」と思ってもらえるような、スマートな伝え方の具体例をご紹介します。
サロン開業の報告と同時に料金体系を明確に伝えるための具体的なトークスクリプト
友達にサロンの開業を報告する、その一番良いタイミングで、自然な流れで料金についても伝えてしまいましょう。
例えば、以下のようなトークがおすすめです。
「ついに念願だった自宅ネイルサロンをオープンすることになったんだ!これからは一人のプロとして本気でやっていきたいから、料金はメニュー表の通りでお願いしているんだけど、ぜひ最初のモデルとして施術させてほしいな。応援してくれると嬉しい!」
ここでのポイントは、「プロとして」「本気で」という言葉を使い、あなたの真剣な姿勢と覚悟を示すことです。
申し訳なさそうに伝えるのではなく、夢を語るように晴れやかな表情で伝えることで、友達もあなたの覚悟を理解し、料金について交渉しようという気持ちにはなりにくくなります。
料金表や公式サイトの情報を活用して客観的な事実として価格を提示する方法
口頭で伝えるだけでなく、誰もが見られる視覚的な情報を活用すると、価格の正当性が増し、よりスムーズに受け入れてもらいやすくなります。
例えば、デザインツールのCanvaなどを使っておしゃれにデザインした料金表の画像をLINEで送ったり、ホームページ作成サービスのペライチなどで作成したサロンのウェブサイトやInstagramアカウントを見せたりする方法です。
これにより、価格があなたの個人的な感情でその場で決めているのではなく、サロンの公式な料金であるという客観的な事実として伝わります。
「私が決めた」のではなく「お店のルールとして決まっている」という形にすることで、個人的な気まずさを回避できるという大きなメリットがあります。
感謝の気持ちを価格ではなくサービスの質で表現するという新しい考え方
もし、いつも応援してくれる友達に何か特別なことをしてあげたい、と感じるのであれば、安易な値引きではなく、サービスの質で応えるという考え方に切り替えましょう。
これは、お客様にとってもあなたにとっても、メリットの大きい素晴らしい方法です。
例えば、「いつも本当にありがとう!感謝の気持ちだから、今日は特別に新しく入荷した高品質なトリートメントを使ってみるね」とか「少し長めにハンドマッサージしておくね」といった形で、プラスアルファの付加価値を提供します。
これにより、あなたは正規料金を維持でき、友達は「大切にされている」という特別な満足感を得ることができます。
これは、お互いにとって最高の思い出となり、Win-Winの関係を築くことができる非常に賢い方法です。
お客様である友達との適切な距離感を保つための具体的な付き合い方のステップ
価格設定の問題と並んで重要なのが、お客様である友達との「付き合い方」です。
プライベートな関係とビジネス上の関係を上手に切り分けることで、お互いに不要なストレスを感じることなく、良好な関係を長く維持できます。
ここでは、そのための具体的なステップをご紹介します。
予約から来店そして会計までの一連の流れをビジネスライクに徹底する
友達だからこそ、予約から会計までの一連の流れを、あえてビジネスライクに、事務的に行いましょう。
友達からの予約は、プライベートな連絡で受けるのではなく、ビジネス用のLINE公式アカウントや、前述したSTORES 予約などの予約システムを利用してもらいます。
来店時には「いらっしゃいませ、〇〇様」と他のお客様と同じようにお迎えし、施術中は丁寧語を基本とします。
そして会計も、SquareやSTORES 決済といったキャッシュレス決済を導入し、スマートに行います。
この一連の「型」を徹底することで、あなたも友達も自然と「今はサロンオーナーとお客様の時間だ」という意識のスイッチが入り、適切な距離感が生まれるのです。
施術中の会話でプライベートな話題とビジネスの話題を上手に切り分ける技術
施術中の会話は、お客様の満足度を大きく左右する重要な要素です。
友達だからといって、あなたのプライベートな愚痴や、サロン経営の悩み、他のお客様の情報を話すのは絶対に避けましょう。
お客様は、日常を忘れてリラックスするためにサロンに来ているのです。
会話の主導権は、プロであるあなたが握り、友達が心地よく過ごせるような話題を提供しましょう。
美容に関する最新情報や、友達が興味を持ちそうな趣味の話題など、あくまで「お客様を楽しませる」というプロとしての視点を忘れないことが大切です。
友達の話を真剣に「傾聴」することは大切ですが、あなたが話しすぎるのは禁物です。
サロンの営業時間外や休日には友達としてプライベートな関係を楽しむメリハリ
サロンのドアを一歩閉めたら、そこからは対等な友達関係にスイッチを切り替えましょう。
営業時間外や休日にプライベートで会うときは、仕事の話は一切抜きにして、思いっきり一人の友人として楽しみます。
このように、仕事とプライベートを意識的に、そして明確に切り分けることで、生活にメリハリがつき、お互いの関係性が非常に健全に保たれます。
仕事モードで輝いているプロとしてのあなたと、気兼ねなく話せる親友としてのあなた。
その両方の魅力を見せることで、友達はあなたをプロとして心から尊敬し、同時にかけがえのない親友として、より一層大切に思ってくれるでしょう。
もし友達価格で始めてしまった場合の円満な値上げ交渉術とタイミング
「この記事を読むのが遅かった…」「すでに友達価格でサービスを提供してしまっている…」という方もいるかもしれません。
正規料金に戻すのは非常に勇気がいることであり、気まずいと感じるかもしれません。
しかし、そのままではあなたのビジネスはいずれ立ち行かなくなります。ここでは、友達との大切な関係を壊さずに、スムーズに価格を改定するための円満な交渉術と、ベストなタイミングについて解説します。
- STEP1:感謝と未来の展望をセットで伝える。
- STEP2:サロンの変化を価格改定の口実にする。
- STEP3:移行期間を設けて最後の特別対応をする。
感謝の言葉と共にサロンの成長や今後の展望を伝えて値上げの必要性を理解してもらう
価格改定を伝える際は、まずこれまでの応援に対する心からの感謝を伝えることが何よりも大切です。
「今まで応援価格で通ってくれて本当にありがとう。〇〇ちゃんが来てくれたおかげで、サロンをもっと本格的にしていきたいと強く思えるようになったんだ」と、ポジティブな言葉から始めましょう。
その上で、「新しい技術を導入したり、もっと肌に良いオーガニックな材料を使ったりするために、来月から料金を改定させてもらうことになったんだ」と、価格改定がサービスの質を向上させるための前向きな投資であることを伝えます。
単なる「値上げ」ではなく「価値の向上」というストーリーを伝えることで、友達は価格改定をポジティブに受け取りやすくなります。
新しいメニューの導入やサロンのリニューアルを価格改定の絶好のタイミングにする
ただ単に「来月から値上げします」と唐突に伝えるのではなく、何かサロンに変化があったタイミングに合わせると、より自然に、そしてスムーズに受け入れてもらいやすくなります。
例えば、新しい施術メニューを導入したタイミングや、サロンの内装を少しリニューアルしたタイミングで、「これを機に、より良いサービスを提供するため、料金体系を一新しました」と伝えるのです。
「サロンの進化」という大義名分があることで、友達も価格改定に納得しやすくなります。
これは、値上げに対する相手の心理的な抵抗を和らげる、非常に効果的なテクニックです。
値上げ前に猶予期間を設けて既存の友達に感謝の気持ちを示す最後の特別対応
すぐに新価格に切り替えるのではなく、「来月から新料金になるんだけど、いつも来てくれている〇〇ちゃんだけは、感謝の気持ちとして、あと2回まで今までの価格でいいよ」といったように、特別な猶予期間を設けるのも非常に有効な一手です。
これは、これまでの感謝の気持ちを具体的な形で示すと同時に、友達に「自分は大切にされている」「特別扱いされている」という満足感を与えることができます。
この思いやりのあるワンクッションを置くことで、価格改定がよりスムーズに進み、友達は気持ちよく新価格へと移行してくれるでしょう。
これは絶対に避けたい!自宅サロンで友達をお客様にする際のNG行動パターン
良かれと思ってやったことが、実は友達との関係を悪化させ、他のお客様を失う原因になってしまうことがあります。
ここでは、自宅サロンで友達をお客様として迎える際に、絶対にやってはいけないNG行動を具体的にご紹介します。
これらのパターンを事前に知り、避けるだけで、多くの無用なトラブルを未然に防ぐことができます。
他の一般のお客様の前で友達とだけプライベートな会話で盛り上がってしまう行為
あなたのサロンに他のお客様もいる状況で、友達とだけ内輪のネタや学生時代の思い出話などで盛り上がるのは絶対にやめましょう。
その場に取り残された他のお客様は強い疎外感を感じ、「自分は大切にされていない」「常連や友達だけを優先するお店なんだ」と不快な気持ちになります。
これは、大切なお客様の信頼を一瞬で失うことに直結する、非常に危険な行為です。
どんなに親しい友達が来店しても、その場にいる全てのお客様への配慮を最優先するプロの姿勢を忘れてはいけません。
友達だからという理由で予約の時間を変更したり後回しにしたりする差別的な対応
「後から予約が入った一般のお客様を優先したいから」といった自分勝手な理由で、先に予約を入れてくれていた友達に安易に時間変更をお願いするような行為は、信頼を著しく損ないます。
お客様は、友達であろうとなかろうと、予約した順番で平等に扱うのがビジネスの鉄則です。
「親しいから大丈夫だろう」という甘えから友達を軽んじるような対応をすることは、あなたのサロンの評判を落とすだけでなく、大切な友情そのものにも修復困難な亀裂を入れる原因となります。
サービスの対価としてお金ではなくプレゼントやおごりで済ませようとする提案
友達から「料金の代わりに、今度ご飯おごるからそれでいい?」「この前あげた誕生日プレゼントのお返しってことで!」といった提案をされることがあるかもしれません。
しかし、これを安易に受け入れてはいけません。
あなたのサービスの価値は、食事やおごりといった曖昧なもので測れるものではないのです。
ビジネスとしてサロンを運営している以上、サービスの対価は必ず現金またはキャッシュレス決済でいただきましょう。
「気持ちは本当に嬉しいけど、お金はきっちりいただかないと、プロとしてこの仕事を続けていけないから」と、感謝を伝えつつも、毅然とした態度で断る勇気を持つことが、長い目で見てお互いのためになります。
友達がお客様になることで得られる自宅サロン経営の大きなメリットを知っておこう
ここまで友達をお客様にすることの難しさや注意点について多く触れてきましたが、もちろん良い面もたくさんあります。
メリットを正しく理解し、それを最大限に活かすことで、友達はあなたのサロン経営にとって、かけがえのない存在になります。
ここでは、友達がお客様になることで得られる、サロン経営上の大きな利点をご紹介します。
開業初期の不安定な時期に安定した集客と売上の基盤となってくれる存在
サロンを開業したばかりの頃は、お客様が一人も来ない日が続くことも珍しくなく、多くの人が不安と焦りでいっぱいになります。
そんな精神的に不安定な時期に、定期的に通ってくれる友達の存在は、心の支えになるだけでなく、経営的に見ても安定した売上の基盤となります。
友達が一人来てくれるだけで、その日の材料費や光熱費が賄えるかもしれません。
この開業初期の安定した収益は、あなたが焦らずにサロン経営を軌道に乗せていく上で、非常に大きな助けとなるでしょう。
忖度のない正直な意見や感想をくれることでサービスの改善につながる貴重なフィードバック
一般のお客様は、たとえサービスに不満があっても、気を使って何も言わずに黙って去っていくことがほとんどです。
しかし、心からあなたのことを思ってくれている親しい友達であれば、「さっきのBGM、ちょっと音が大きくてリラックスできなかったかも」「このお茶、すごく美味しいね!どこで買えるの?」など、忖度のない率直な意見や感想をくれる可能性が高いです。
こうした本音のフィードバックは、自分一人では気づけなかったサービスの改善点を発見し、お店全体の質を向上させるための、何物にも代えがたい貴重な宝物となるのです。
口コミや紹介の強力なサポーターとなり新規顧客の獲得に大きく貢献してくれる可能性
もしあなたのサロンのサービスに友達が心から満足してくれたなら、その友達は最も強力な「歩く広告塔」になってくれます。
他の友人や会社の同僚に「私の友達がやっているサロン、本当に技術も高くて最高だから絶対に行ってみて!」と、誰よりも熱意を持って口コミを広げてくれるでしょう。
第三者からの紹介、特に親しい友人からの紹介で来店されたお客様は、サロンへの信頼度や期待値が非常に高い状態で来てくれるため、リピーターになってくれる確率が格段に上がります。
たった一人の友達が、その先にいる何人もの優良な新規顧客を連れてきてくれる可能性があるのです。
自宅サロンに友達をお客様として迎えることへの不安を解消する心構えと準備
ここまで読んできたあなたは、友達をお客様にすることへの具体的なイメージが湧き、やるべきことも明確になってきたはずです。
最後に、それでも心のどこかに残っているかもしれない不安を完全に解消し、自信を持って友達を迎え入れるための心構えと具体的な準備についてお伝えします。
これを実践すれば、あなたはもう迷うことはありません。
あなたはプロのサービス提供者であるというセルフイメージを確立し自信を持つこと
最終的に最も大切なのは、あなた自身の心構え、つまりセルフイメージです。
あなたは「友達に施術をしてあげる」のではありません。
「お客様である友人に、プロとしてお金をいただくに値する価値あるサービスを提供する」のです。
自分の技術や知識、そしてサロンという空間に自信を持ち、堂々とした態度で接しましょう。
あなたのそのプロフェッショナルな姿勢がオーラとなって友達にも伝わり、自然とお客様としての丁寧な振る舞いを促します。
自信を持つために、日々の技術練習や知識のアップデートを怠らず、自分自身が自分のサロンの最初のファンであることが重要です。
サロンのコンセプトやルールを明記したウェブサイトやSNSアカウントを事前に準備する
あなたのサロンがどのようなコンセプトの場所で、どのようなルールで運営されているのかを、客観的に、そして公に示すためのツールを事前に準備しましょう。
無料のウェブサイト作成サービスであるWixやAmeba Owndなどを活用して、サロンのコンセプト、メニュー、料金、キャンセルポリシーなどを明記したページを作っておきます。
これがあるだけで、あなたが個人的に気まぐれでルールを決めているのではなく、「サロンとしての方針」であることを明確に示せるため、友達への説明が格段にしやすくなり、気まずさが生まれません。
最初の友達を一人迎える前に頭の中で完璧なシミュレーションを何度も繰り返す
最初の友達をお客様として迎える前に、頭の中で一連の流れを完璧にシミュレーションしてみましょう。
これは「メンタルリハーサル」と呼ばれるもので、トップアスリートも実践する極めて効果的なトレーニングです。
- 玄関:インターホンが鳴り、ドアを開けて「〇〇様、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」と笑顔で迎える。
- カウンセリング:お茶を出し、カウンセリングシートを元に丁寧語で今日の体調やご希望をヒアリングする。
- 施術:プロとしてサービス内容を説明しながら、集中して施術を行う。
- 会計:「本日は〇〇円でございます」と伝え、キャッシュレス決済でスマートに会計を済ませる。
- お見送り:「本日はご来店いただき誠にありがとうございました」と深々とお辞儀をしてお見送りする。
それぞれの場面で、どのような言葉遣いや立ち居振る舞いをするのかを具体的にイメージします。
この事前のシミュレーションが、当日のあなたの言動に自信と落ち着きを与え、最高のパフォーマンスを引き出してくれます。
まとめ
今回は、多くの自宅サロンオーナーが悩む「友達をお客様にする際の価格設定や付き合い方」について、具体的な解決策を詳しく解説してきました。
大切なポイントは、感情に流されず、ビジネスとプライベートの境界線を明確にするための「事前のルール作り」に全てがかかっている、ということです。最後に、この記事でお伝えした重要なポイントを振り返りましょう。
この記事のポイント
- 友達との「やりにくさ」は明確なルールがないから生まれる。
- 価格は正規料金が基本。割引は公平なキャンペーンで行う。
- 予約やキャンセルは他のお客様と全く同じルールを適用する。
- プロとしての自覚を持ち、自分のサービスに自信を持つことが最も大切。
- 事前の準備とシミュレーションが、当日の自信につながる。
友達との関係を壊さずに自宅サロンを成功させる鍵は事前の明確なルール設定にある
自宅サロンで友達をお客様にすることの「やりにくさ」は、あなたと友達の間に明確なビジネス上のルールがないことから生じます。
価格設定は正規料金を基本とし、割引はキャンペーンなどの公平な形で行いましょう。
予約やキャンセルも他のお客様と同じルールを適用し、ビジネス用のツールで事務的に管理することが大切です。
最初にこのルールを揺るぎないものとして作り上げ、それを友達に誠実に伝える勇気を持つこと。それが、お互いにとって気持ちの良い関係を築き、あなたのサロンを成功に導く最も重要な鍵となります。
プロとしての意識を持ちサービスの価値を信じることが友達を最高のお客様に変える
あなたは趣味やボランティアでサロンをしているわけではありません。
貴重な時間と決して安くはない費用を投資して身につけた技術で、お客様に癒しや美という価値を提供している、誇り高きプロのセラピストやネイリストなのです。
その価値を誰よりも信じるべきは、他の誰でもない、あなた自身です。
あなたが自分のサービスに絶対的な自信と誇りを持てば、そのプロフェッショナルなオーラは必ず友達にも伝わります。
その結果、友達はあなたの単なる「友達」から、あなたのサロンを心から愛し、誰よりも熱心に応援してくれる「最高のお客様(=ファン)」へと変わっていくはずです。
今日からできる小さな一歩を踏み出して大切な友達と新しい関係を築いていこう
この記事を読んで、やるべきことは明確になったはずです。
難しく考える必要はありません、まずは今日からできる小さな一歩を踏み出してみましょう。
あなたのサロンのルールを、紙やスマホのメモ帳に書き出してみてください。
料金体系、予約方法、キャンセルポリシーなど、具体的に書き出すことで、頭の中が驚くほど整理されます。
そして、次に友達に会った時に、あなたのサロンに対する熱い想いと、今書き出したルールを、自信を持って伝えてみてください。
その勇気ある小さな一歩が、これまでのやりにくい関係を解消し、大切な友達と、サロンオーナーとして、そして一人の友人として、より豊かで新しい関係を築くための輝かしいスタートラインになるのです。
コメント