あなたのサロンでは、お客様におしぼりをお出ししていますか。
当たり前のように行っているおしぼりサービスも、実はほんの少しの工夫でお客様に深い感動を与え、リピート来店に繋がる強力なコミュニケーションツールに変わります。
この記事では、専門用語をできるだけ使わず、初心者の方でも明日からすぐに実践できる、温かいおしぼりや冷たいおしぼりの効果的な出し方、そしてアロマを活用したワンランク上のおもてなし術を、具体的な手順と豊富な事例を交えて詳しく解説します。
この記事を最後まで読めば、お客様の心を掴むおしぼりの秘訣がすべてわかり、あなたのサロンが「また来たい」と思われる特別な場所になるはずです。
結論から解説!サロンのおもてなしは温かい・冷たいアロマおしぼりの出し方一つで劇的に向上します
多くの方が、おしぼりを単なる「手を拭くためのもの」と考えているかもしれません。
しかし、サロンという特別な空間において、おしぼりは施術前後の気持ちを切り替え、お客様の心と身体をリラックスモードへと導く、非常に重要なコミュニケーションツールです。
ここでは、なぜおしぼりの出し方がお客様の満足度に直結するのか、その理由を具体的に解説します。
五感を刺激するおしぼりがお客様のサロンに対する第一印象を決定づけます
お客様がサロンのドアを開けて最初に体験するおもてなしの一つが、このおしぼりサービスです。
手渡されたおしぼりの柔らかな肌触り(触覚)、心地よいアロマの香り(嗅覚)、じんわりと伝わる温かさ(触覚)は、お客様の緊張を瞬時にほぐし、心を開くきっかけとなります。
例えば、高品質で知られる今治タオルのような、ふかふかで厚みのあるタオルを使うだけで、お客様は「このサロンは備品一つひとつにまでこだわっているんだな」と、その質の高さを無意識に感じ取ります。
この最初の感動体験が、サロン全体の評価、そして施術への期待感を大きく高めるのです。
温かいおしぼりと冷たいおしぼりの戦略的な使い分けが顧客満足度を大きく左右します
季節やその日の気候、さらにはお客様の状態に合わせて温かいおしぼりと冷たいおしぼりを使い分けることは、お客様への深い配慮を示す絶好の機会です。
うだるように暑い夏の日には、ミントの清涼感あふれる香りがするキリッと冷えたおしぼりで爽快感を、凍えるように寒い冬の日や、冷房で体が冷えているお客様には、柑橘系の香りがするふかふかの温かいおしぼりで安心感を提供できます。
このような細やかな気配りが、お客様にとって「私のことを気遣ってくれている」という忘れられない特別な体験となり、他のサロンとの明確な差別化ポイントになるのです。
アロマの香りを加えるだけでありふれたおしぼりが特別なリラックスアイテムに変わります
嗅覚は、五感の中で唯一、記憶や感情を司る脳の「大脳辺縁系」に直接働きかけると言われています。
おしぼりにサロンのオリジナルブレンドのアロマを数滴加えるだけで、それは単なるタオルではなく、サロンのブランドイメージを象徴するアイテムへと昇華します。
例えば、リラックス効果の高いラベンダーの香りはエステサロンに、集中力を高め頭をスッキリさせるローズマリーの香りはヘッドスパを提供するサロンに最適です。
このように香りを戦略的に使うことで、お客様の記憶に「あのサロン=この心地よい香り」と深く刻み込まれ、再来店を促す強力なトリガーとなり得ます。
お客様に感動を与えるおしぼりの出し方の基本ステップと心遣いを具体的に解説します
おしぼりをただ「はい、どうぞ」と手渡すだけでは、その価値を最大限に引き出すことはできません。
お客様に「大切にされている」と感じていただくためには、渡し方にも作法と心遣いが必要です。
ここでは、誰でも今日から実践できる、丁寧なおしぼりの出し方の基本を、具体的な手順に沿って解説します。
おしぼりをお出しするタイミングはお客様が席に着いて一息ついた瞬間がベストです
おしぼりを出す最適なタイミングは、お客様がコートを脱いで荷物を置き、椅子に深く腰かけて「ふぅ」と一息ついた瞬間です。
カウンセリングシートをご記入いただく前や、ウェルカムドリンクを提供する直前などが具体的なタイミングとして挙げられます。
入店直後の慌ただしい時ではなく、お客様の呼吸に合わせるようなゆったりとした動作を心がけることで、サロン全体の落ち着いた、上質な雰囲気を演出することができます。
この「間」が、おもてなしの質を格段に上げます。
おしぼりトレイを使い両手で丁寧に差し出すことでおもてなしの心が伝わります
おしぼりは、衛生面からも素手で直接渡すのではなく、清潔な「おしぼりトレイ」に乗せて提供するのが基本的なマナーです。
木製や陶器製、竹製、スタイリッシュな金属製など、サロンのインテリアに合ったデザインのトレイを選ぶと、より統一感のある洗練された空間を演出できます。
お出しする際は、お客様の正面、もしくは邪魔にならない斜め前から、両手でトレイを持ち、ゆっくりと「どうぞ、おくつろぎください」という一言を添えて差し出しましょう。
この丁寧な所作そのものが、お客様への敬意として伝わります。
お客様が使いやすいようにおしぼりの向きを考えてトレイの上に配置する工夫をします
おしぼりをトレイに置く向きにも、細やかな配慮が必要です。
多くのお客様は右利きであるため、右手で自然にストレスなく手に取れるように配置するのが基本です。
具体的には、トレイをお客様に対して横向きに置き、おしぼりの巻き終わりの部分(端の部分)がお客様側に向かないように、つまり自分側か奥側に来るように置くと、広げやすくなります。
こうした些細な工夫の積み重ねが、お客様にとっての「快適さ」に繋がるのです。
おしぼりを下げるときはお客様の使用後にさりげなく声をかけてタイミングを見計らいます
お客様がおしぼりを使い終わったのを確認したら、適切なタイミングで「お下げしてもよろしいでしょうか」と優しく声をかけます。
施術が始まる前や、ドリンクを飲み終えた後など、会話や行動が一区切りついたタイミングがベストです。
使用済みのおしぼりがテーブルに長時間放置されることがないよう、常に気を配る姿勢が、サロン全体の清潔感と質の高いサービスを印象付けます。
夏場に喜ばれる冷たいおしぼりの効果的な作り方と特別な出し方のアイデア
汗ばむ季節や、暑い屋外から来店されたお客様にとって、ひんやりと冷たいおしぼりは何よりのごちそうです。
ここでは、ただ冷たいだけではない、お客様を「あっ」と言わせるような冷たいおしぼりの作り方と、その効果を最大限に高める提供方法についてご紹介します。
清潔なタオルを水で濡らして固く絞り一本ずつラップで包んで冷蔵庫で冷やします
美味しい冷たいおしぼりを作るための、基本的な手順は以下の通りです。
- 清潔なタオルを水道水で均一に濡らします。
- 水滴がポタポタ落ちない程度に、固く、しかし絞り跡がつきすぎないように絞ります。
- 乾燥と、冷蔵庫内の他の食品からの匂い移りを防ぐため、一本ずつ丁寧にラップでぴったりと包みます。
- 冷蔵庫で最低でも1時間以上、しっかりと冷やします。
業務用冷蔵庫がない場合は、お客様専用の小型ポータブル冷蔵庫を用意するのも良い方法です。
何よりも衛生管理を徹底することが、お客様の安心感に繋がります。
ペパーミントやレモングラスのアロマオイルを数滴加えると爽快感が格段にアップします
冷たいおしぼりに清涼感をプラスしたいなら、アロマオイルの活用がおすすめです。
ボウルに張った冷たい水に、ペパーミントやレモングラス、ユーカリといった体感温度を下げる効果が期待できるアロマオイルを1〜2滴垂らし、よくかき混ぜます。
そのアロマウォーターでタオルを濡らして作るだけで、香りの効果で爽快感が格段にアップします。
アロマ専門店である生活の木などで購入できる高品質なエッセンシャルオイルを使うと、合成香料とは違う、自然で奥行きのある心地よい香りが楽しめます。
特にペパーミントの香りは、暑さでぼんやりした頭をシャキッとさせてくれる効果も期待できます。
凍らせたおしぼりをミストスプレーと共に提供するサプライズ演出も効果的です
特に猛暑の日には、サプライズとして半解凍状態の「おしぼりシャーベット」を提供するのも非常に喜ばれるアイデアです。
カチカチに凍らせるのではなく、渡した際に少し揉むとシャリシャリとほぐれる程度に凍らせたおしぼりを、冷たいハーブティーなどと一緒にお出しします。
さらに、ハッカ油を数滴混ぜた冷水をミストスプレーに入れ、お客様の目の前でおしぼりの上から「シュッ」と一吹きする演出を加えれば、驚きと共に極上の清涼感を体験していただけるでしょう。
冬場やリラックス効果を高める温かいおしぼりの最適な温度と丁寧な出し方
寒い季節や、心身ともにリラックスしたいと願うお客様にとって、じんわりと温かいおしぼりは至福のひとときを演出する最高のアイテムです。
ここでは、火傷の心配がなく、人間が最も心地よいと感じられる温度設定や、その温かさを維持したまま提供するための具体的な方法を解説します。
タオルウォーマーを使い人肌より少し温かいと感じる六十度から七十度が最適です
温かいおしぼりを安定して提供する上で欠かせないのが、タオルを衛生的に保温するための専用機器「タオルウォーマー」です。
業務用の機器メーカーとして有名なTAIJI(タイジ)などが様々なサイズや種類のウォーマーを販売しており、サロンの規模に合わせて選べます。
設定温度は、熱すぎて持てない、ぬるすぎてがっかり、ということがない60℃~70℃が理想的です。
この温度は、人が心地よいと感じるだけでなく、雑菌の繁殖を抑える効果も期待できる、理にかなった温度なのです。
これがプロのおもてなしの基準となります。
電子レンジで温める場合は加熱ムラを防ぐために水で濡らしたタオルをラップで包みます
まだタオルウォーマーを導入していない場合、家庭用の電子レンジでも代用可能です。
ただし、安全で心地よい温かさに仕上げるにはコツが要ります。
水で濡らして固く絞ったタオルを、乾燥と加熱ムラを防ぐためにラップで丁寧に包み、500Wで30秒~1分程度加熱します。
加熱時間はタオルの厚みや枚数によって変わるので、最初は短い時間から試してください。
一度取り出して全体の熱の均一性を確認し、熱すぎる部分と冷たい部分がないかチェックすることが大切です。
お客様に渡す前には必ず自分の手で温度を確認し、火傷のリスクをなくしましょう。
おしぼりが冷めないようにお客様にお出しする直前にウォーマーから取り出します
温かいおしぼりの最大の魅力は、その「温かさ」そのものです。
最高の状態で提供するためには、お客様にお出しするまさにその直前にタオルウォーマーから取り出すのが鉄則です。
取り出したおしぼりは、すぐに清潔なおしぼりトレイに乗せ、湯気がふわっと立ち上る温かさが視覚的にも伝わるように、速やかにお客様の元へ運びましょう。
この一連の流れるようなスムーズな動きが、おもてなしの質を決定づけます。
サロンのブランドイメージを向上させるアロマおしぼりの簡単な作り方と香りの選び方
アロマおしぼりは、お客様の記憶に深く働きかけ、サロンの印象を決定づける強力なブランディングツールです。
ここでは、誰でも簡単に実践できるアロマおしぼりの作り方と、サロンのコンセプトに合わせた香りの選び方のヒントをご紹介します。
スプレーボトルに精製水とアロマオイルを入れておしぼりに吹きかける最も手軽な方法
最も簡単で、すぐ始められるのがスプレーを使った方法です。
スプレー法の作り方
- 100円ショップなどで手に入る清潔なスプレーボトルを用意します。
- 薬局で買える精製水50mlと、お好きなアロマオイルを3〜5滴入れてよく振り混ぜます。(精製水を使うと、水道水の塩素などが香りの邪魔をせず、ピュアな香りを楽しめます)
- これを、温めたり冷やしたりする直前のおしぼりに、2〜3プッシュ均一に吹きかけるだけで完成です。
この方法なら、お客様ごとに香りを変えるといったパーソナルな対応も可能になります。
おしぼりを浸す水に直接アロマオイルを数滴垂らして全体に香りを行き渡らせる方法
香りをより均一に、そして長持ちさせたい場合は、おしぼりを浸す水に直接アロマオイルを加える方法がおすすめです。
洗面器などに張った水にアロマオイルを2〜3滴垂らし、よくかき混ぜてからタオルを浸して絞ります。
ここでワンポイントアドバイスですが、オイルは水に溶けにくいため、薬局で手に入る無水エタノールを少量(小さじ1杯程度)加えて混ぜると、オイルが水に混ざりやすくなり(乳化)、より均一に香りが広がります。
このひと手間で、香りのクオリティがぐっと上がります。
タオルウォーマーの中にアロマオイルを垂らしたコットンやアロマウッドを入れる方法
タオルウォーマー全体を心地よい香りで満たし、おしぼり全体に穏やかに香りを移す、という上級テクニックもあります。
コットンや、アロマオイルを染み込ませるための専用の木材「アロマウッド」に、お気に入りのアロマオイルを数滴垂らし、タオルウォーマーの隅に置いておくだけです。
これにより、ウォーマーの扉を開けるたびにふわっと良い香りが広がり、サロンの空間全体を演出する効果も期待できます。
サロンのシグネチャーセント(象徴的な香り)を作るのに最適な方法です。
香りが強すぎると不快に感じるお客様もいるためほのかに香る程度が理想的です
アロマの香りは、あくまで「ほのかに香る」程度が理想です。
良かれと思って香りを強くしすぎると、かえってお客様に不快感を与えてしまったり、「香害」として気分が悪くなってしまったりする可能性があります。
特に食事を提供するカフェ併設のサロンなどでは、香りが食事の邪魔にならないよう、無香料のおしぼりを選ぶなどの配慮も重要になります。
おもてなしは、常に引き算の美学を忘れないことが大切です。
サロンのコンセプトに合わせたアロマオイルの選び方とおすすめブランドを具体的に紹介
どんな香りを選ぶかによって、サロンがお客様に与える印象は大きく変わります。
ここでは、サロンの目的や雰囲気に合わせて、どのようなアロマを選べば良いのか、具体的な例と、品質の良いアロマオイルが手に入るおすすめのブランドをご紹介します。
リラクゼーションサロンにはラベンダーやベルガモットなど心を落ち着かせる香りがおすすめです
心と身体の深いリラックスを目的とするエステサロンやマッサージサロンには、鎮静作用が高いとされる香りが適しています。
フローラル系の代表格で「万能オイル」とも呼ばれる「ラベンダー」や、柑橘系の爽やかさの中に落ち着きのあるフローラルなトーンを持つ「ベルガモット」などが定番です。
これらの香りは、多くの人に好まれやすく、不安や緊張を和らげ、施術効果を高める手助けにもなります。
リラックス空間の王道ともいえる香りです。
リフレッシュを目的としたサロンにはオレンジスイートやグレープフルーツなどの柑橘系の香りが合います
ヘッドスパやフットケア、スポーツ後のケアなど、施術後にすっきりとした爽快感を提供したいサロンには、気分を明るくするような柑橘系の香りがぴったりです。
太陽の光をたっぷり浴びたような甘く親しみやすい「オレンジスイート」や、シャープでみずみずしい「グレープフルーツ」の香りは、気分を前向きにし、活力を与えてくれます。
特に午前中の施術や、お客様に元気になって帰ってほしい時におすすめです。
ポジティブなエネルギーをお客様に提供できます。
高級感を演出したいサロンにはイランイランやサンダルウッドなど深みのある香りが良いでしょう
非日常的でラグジュアリーな空間を演出したい場合は、少し個性的で深みのある、複雑な香りを選ぶと良いでしょう。
濃厚でエキゾチックな花の香り「イランイラン」や、お香のように心を鎮めるウッディな香り「サンダルウッド(白檀)」は、空間に重厚感と特別感を与えます。
これらの香りをブレンドすることで、より複雑で奥深い、サロン独自のシグネチャーセント(象徴の香り)を作り出すことも可能です。
有名ブランドでは、手軽に試せる無印良品や、香りの空間デザインを手掛ける@aroma(アットアロマ)が、多様なブレンドオイルを取り揃えており参考になります。
アロマおしぼりを提供する際に絶対に知っておきたい注意点とお客様への配慮
アロマおしぼりは素晴らしいおもてなしですが、提供する際にはいくつか注意すべき点があります。
お客様に心からリラックスしていただくために、アレルギーや香りの好みなど、安全を最優先するためのポイントを解説します。
妊娠中の方や特定のアレルギーを持つお客様にはアロマの使用を控える配慮が必要です
アロマオイルの中には、ホルモンバランスに影響を与えたり、皮膚への刺激となったり、特定の持病(てんかんや高血圧など)に影響を及ぼす可能性があるものが存在します。
そのため、妊娠中のお客様や、特定のアレルギー、敏感肌のお客様への使用は慎重になるべきです。
カウンセリングの際に「おしぼりにアロマの香りを使用しておりますが、よろしいでしょうか」と一言確認するか、カウンセリングシートにアレルギーの有無をヒアリングする項目を設けるなど、安全への配慮を最優先しましょう。
不安な場合は、香りのないプレーンなおしぼりを提供するのが最も安全です。
香りの好みは人それぞれ違うため数種類の香りからお客様に選んでもらうサービスも喜ばれます
香りの好みは、育った環境や過去の記憶と結びついているため、非常に個人的なものです。
サロン側が良かれと思って選んだ香りが、お客様にとっては苦手な香りである可能性もゼロではありません。
もしオペレーションに余裕があれば、「リラックス系のラベンダー」と「リフレッシュ系のオレンジ」など、タイプの違う2〜3種類のアロマを用意し、お客様にその日の気分で選んでいただくサービスは、パーソナルな特別感を演出し、大変喜ばれます。
「あなたのために」というメッセージが伝わる最高のおもてなしです。
使用するアロマオイルは肌に直接触れても安全な高品質のエッセンシャルオイルを選びましょう
おしぼりは直接お客様の肌に触れるものですから、使用するアロマオイルの品質には最大限の注意を払うべきです。
安価な合成香料で作られた「アロマオイル」ではなく、植物から抽出された100%天然の「エッセンシャルオイル(精油)」を使用してください。
エッセンシャルオイルは、植物の有効成分が凝縮されており、香りだけでなく心身への穏やかな作用も期待できます。
信頼できるアロマテラピー専門店、例えばオーガニックコスメの先駆けであるニールズヤード レメディーズや前述の生活の木などで購入することを強くおすすめします。
おしぼりサービスを効率化するためのタオルウォーマーやタオルの選び方とコスト管理
質の高いおしぼりサービスを継続的に提供するためには、日々の効率的なオペレーションとコスト管理が不可欠です。
ここでは、サロンの規模やコンセプトに合った機材やタオルの選び方、そしてランニングコストを賢く抑えるためのポイントを解説します。
サロンの規模と客数に合わせてタオルウォーマーの容量を選ぶことが重要です
タオルウォーマーには、数本しか入らないコンパクトなものから、数十本を一度に温められる大型のものまで様々なサイズがあります。
容量はリットル(L)で表記され、一般的に7.5L程度の小型タイプで約30本、18Lの中型タイプで約80本のおしぼりが収容できます。
プライベートサロンであれば小型タイプ、スタッフが複数名いる中規模以上のサロンであれば中〜大型タイプが目安となります。
常に十分な数のおしぼりを提供できるよう、1日の最大客数や回転率を考慮して容量を選ぶことが失敗しないポイントです。
タオルの素材は吸水性と肌触りに優れた綿百パーセントのものを選ぶのが基本です
お客様の肌に直接触れるタオルは、素材選びがサービスの質を左右します。
基本は、吸水性と耐久性に優れ、柔らかな肌触りを持つ綿100%のものが最適です。
特に、タオルの世界的産地として有名な「今治タオル」のブランド認証がついたものや、業務用タオルの専門通販サイトで販売されている「スレン染め」のタオルはおすすめです。
スレン染めとは、塩素系漂白剤に強く色落ちしにくい特殊な染め方で、繰り返し洗濯しても風合いが落ちにくく、長い目で見るとコストパフォーマンスに非常に優れています。
ランニングコストを抑えるためにタオルのレンタルサービスを利用するのも一つの選択肢です
タオルの購入費用や、日々の洗濯の手間、水道光熱費といったランニングコストを抑えたい場合、おしぼりのレンタルサービスを利用するのも賢い選択です。
専門業者が常に清潔で高品質なタオルを定期的に届けてくれるため、衛生管理の手間が大幅に省け、常に安定した品質のサービスを提供できます。
業者によってはアロマ付きのプランを提供している場合もあるため、一度、ご自身のエリアでサービスを提供している会社を調べて比較検討してみると良いでしょう。
本業の施術に集中したいオーナー様には特におすすめです。
他のサロンはこうしている!温かい・冷たいアロマおしぼりの出し方に関する成功事例を紹介
理論だけでなく、実際に成功しているサロンの事例を知ることは、自店のサービスを向上させる上で大きなヒントになります。
ここでは、おしぼりサービスを工夫することでお客様から高い評価を得ているサロンの、具体的な取り組みをいくつかご紹介します。
高級ヘアサロンでは季節ごとにブレンドを変えたオリジナルアロマでお客様をお出迎えしています
都心のある有名ヘアサロンでは、季節ごとにテーマを設け、それに合わせたオリジナルのブレンドアロマをおしぼりに使用しています。
例えば、春は桜をイメージした甘く優しいフローラルな香り、夏は海辺を思わせるミントやローズマリーのマリン系の香り、秋は金木犀やヒノキの落ち着いた香り、冬はユズやシナモンの温かみのある香り、といった具合です。
この「季節の香りの便り」を楽しみに来店する常連客も多く、サロンのブランディングと顧客のロイヤリティ向上に大きく貢献しています。
隠れ家的なエステサロンではおしぼりと一緒に小さな花を一輪添えて提供しています
住宅街にひっそりと佇む隠れ家的なエステサロンでは、温かいおしぼりを乗せた陶器のトレイの隅に、季節の小さな生花を一輪ちょこんと添えて提供しています。
この、お金はかからなくとも手間と心がこもったささやかな心配りが、マニュアル的ではない温かいおもてなしの心としてお客様に伝わります。
「毎回どんなお花かなって、ドアを開けるのが楽しみになるんです」という声が寄せられており、コストをかけずともアイデア次第で感動は演出できるという素晴らしい好例です。
ネイルサロンでは施術後にオイルで汚れた指先を拭くための温かいおしぼりサービスが好評です
ネイルの施術後、キューティクルオイルなどで指先が少しべたつきが残ることがあります。
あるネイルサロンでは、すべての施術が完了し、お客様がお会計をするまさにそのタイミングで、レモンの香りがする温かいおしぼりを「指先のオイルを優しく拭き取ってくださいね」という言葉と共に提供しています。
施術の最後にさっぱりと気持ちよくサロンを出てほしい、というネイリストの細やかな配慮がお客様に伝わり、最後の最後に顧客満足度を最大化させる見事な演出として、非常に高い評価とリピート率に繋がっています。
まとめ
これまで、サロンでのおしぼりサービスの重要性から、温かいおしぼり、冷たいおしぼり、アロマおしぼりの具体的な作り方、出し方、注意点まで詳しく解説してきました。
最後に、この記事の要点を振り返り、明日からのあなたの行動に繋げるためのポイントをまとめます。
おしぼり一枚の工夫がお客様の感動体験とサロンのブランド価値を大きく向上させます
おしぼりは、もはや単なる消耗品ではありません。
それは、サロンのおもてなし哲学を表現し、お客様に感動を与えるための重要なコミュニケーションツールです。
温度、香り、手触り、そして出し方という4つの要素にほんの少しだけ心を配ることで、お客様のサロンに対する印象は劇的に変わります。
この記事で紹介したアイデアを一つでも取り入れ、あなただけの最高のおもてなしを創造してください。
温かいおしぼりと冷たいおしぼりそしてアロマの活用を戦略的に行うことが差別化に繋がります
数多くの競合サロンとの差別化を図る上で、おしぼりサービスは非常に有効な手段です。
季節やお客様の状態に合わせた温度の使い分け、サロンのコンセプトを表現するアロマの香り、そして丁寧な美しい所作。
これらを組み合わせることで、お客様の記憶に深く刻まれる独自のサービスが完成します。
マニュアル通りのサービスから一歩踏み出し、お客様一人ひとりに寄り添ったおもてなしを心がけましょう。
今日からできる小さな一歩を積み重ねてお客様から愛され続けるサロンを目指しましょう
最初からすべてを完璧に行う必要はまったくありません。
まずは、明日ご来店されるお客様に、おしぼりを両手で丁寧にお出しすることから始めてみませんか。
それができたら次は、スプレーでアロマの香りを少しだけつけてみる。
そのようにして、できることから一つずつ試していくことが何よりも大切です。
お客様の嬉しそうな反応を見ながら改善を重ねていくそのプロセスこそが、お客様から長く愛され、選ばれ続けるサロンへの一番の近道となるでしょう。
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