素敵な音楽が流れるサロンは、お客様が心からリラックスできる特別な空間を演出してくれます。
しかし、あなたが普段スマートフォンで聴いているお気に入りの市販CDやダウンロードした音楽を、そのままお店のBGMとして流すことには「著作権」という、とても大切なルールが関係してくることをご存知でしょうか。
「JASRACという言葉はよく聞くけど、手続きが複雑で難しそう…」「そもそも、うちのような小さなサロンでも手続きは本当に必要なの?」そんな疑問や不安を抱えているサロン経営者様は、実は非常に多くいらっしゃいます。
この記事では、サロンBGMにまつわる音楽の著作権に関する基礎知識から、JASRACへの具体的な手続き方法、そしてもっと手軽に合法的なBGMを導入できる便利な最新サービスまで、専門用語を極力使わずに、誰にでも分かるように丁寧に解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたのサロンで安心して素敵な音楽を流すための具体的な方法と、そのステップが全て明確になります。
結論から解説!あなたの音楽サロンでBGMを流すには著作権手続きがほぼ必須です
まず最初に、この記事で最も重要な結論からお伝えします。
あなたが経営するサロンで、お客様が過ごす空間をより良くするため、つまりサービスの一環として音楽を流す場合、ほとんど全てのケースで著作権の手続きが必要不可欠になります。
なぜなら、あなたが個人的に楽しむ目的で購入したCDや、個人向けに契約した音楽配信サービスの楽曲は、お店のような場所で営利目的に利用することが、法律やサービスの利用規約で許可されていないからです。
しかし、どうかご安心ください。必要な手続きは決して難しいものではなく、近年ではもっと簡単な方法も次々と登場しています。この章では、なぜ手続きが必要なのか、その基本的な考え方をしっかりと理解していきましょう。
個人的な利用とお店での利用は全くの別物であるという大原則について
あなたが普段、ご自宅でのリラックスタイムや通勤中にスマートフォンで聴いている音楽は「私的利用」という法律で認められた範囲で楽しむことが許可されています。
しかし、美容サロンやエステサロン、ネイルサロンといったお店で、お客様のために音楽を流す行為は、お客様への快適なサービス提供の一部と見なされ、「営利目的での公衆への演奏」に該当します。
これは、音楽を使ってお店の雰囲気やブランドイメージを高め、結果的に集客や売上向上に繋げている、と法律上考えられるためです。
そのため、個人的に購入したCDや、Apple MusicやSpotifyといった個人向けの音楽配信サービスの楽曲をそのままお店で流すことは、著作権法違反とサービス利用規約違反の両方に抵触してしまうのです。この「個人で楽しむ」ことと「お店でお客様のために流す」ことの決定的な違いを理解することが、著作権問題をクリアする大切な第一歩となります。
音楽の権利を守るJASRACとは一体何をしてくれる組織なのか
JASRAC(ジャスラック)という名前を、一度は耳にしたことがある方も多いでしょう。
JASRACの正式名称は「一般社団法人日本音楽著作権協会」といい、音楽を作る人(作詞家・作曲家)の大切な権利である「著作権」を、本人たちに代わって預かり、管理している日本で最も大きな団体です。
考えてみてください。音楽を作る人たちが、自分の作った曲が日本中のどんなお店で、どのように使われているかを一人で全て把握し、使用料を集めて回るのは事実上不可能です。
そこでJASRACが、お店やテレビ局、ラジオ局など、音楽を利用する私たちのような人たちから代わりに著作権使用料をまとめて集め、それを音楽を作ったクリエイターたちへ正しく分配するという、非常に重要な役割を担っています。
つまり、私たちがJASRACへ手続きを行うことは、素晴らしい音楽を生み出してくれたアーティストたちへ正当な対価を支払い、その創作活動を支えるという、感謝を伝える行為でもあるのです。
手続きをすればどんな音楽でも自由に流せるようになるというメリット
JASRACへ所定の手続きを行い、年間契約を結ぶことで、あなたが驚くほど膨大な数の楽曲を、ご自身のサロンで自由にBGMとして流せるようになります。
JASRACは国内のほとんどの楽曲はもちろん、海外の多くの楽曲も管理しているため、著作権のことを一切気にすることなく、流行りのJ-POPや懐かしのヒット曲、洋楽、ジャズ、クラシックなど、お店のコンセプトやターゲットとなるお客様の層に合わせて、幅広い選曲が可能になります。
これにより、ご自身でCDショップで購入したお気に入りのCDや、パソコンに取り込んだ音楽データなどを、堂々とお店のBGMとして活用できるのです。
一見すると面倒に思える手続きですが、一度済ませてしまえば、音楽選びの自由度が格段に上がり、より魅力的で個性的なお店づくりに繋がるという、計り知れない大きなメリットがあります。
そもそも音楽の著作権とは何か?サロン経営者が知るべきJASRACの役割
「著作権」や「JASRAC」という言葉は知っていても、その中身や仕組みを正確に理解している方は少ないかもしれません。
ここでは、なぜあなたのサロンで音楽を流す際にこれらの言葉が密接に関係してくるのか、その仕組みをもう少しだけ詳しく、そして分かりやすく解説します。
この仕組みを理解することで、今後BGMを選ぶ際に、迷うことなく自信を持って正しい判断ができるようになります。
音楽に関わる権利は一つではない!作詞家と演奏家の権利の違いについて
実は、私たちが聴いている一曲の音楽には、大きく分けて二つの異なる権利が存在しています。この点が少し話を複雑に感じさせる原因かもしれません。
- 著作権:メロディーや歌詞を作った「作詞家・作曲家」が持つ、楽曲そのものに対する権利です。JASRACが主に管理しているのはこちらの権利です。
- 著作権隣接権:その曲を実際に歌ったり演奏したりした「アーティスト(実演家)」や、その音を録音してCDという製品を製作した「レコード製作者」が持つ権利です。
例えば、あるヒット曲のCDを店で流す場合、「作詞家・作曲家」の許諾(著作権)と、「歌手・レコード会社」の許諾(著作権隣接権)の両方が本来は必要になります。
JASRACへの手続きは、主に前者の「著作権」をクリアするためのものですが、市販のCDをそのまま流す場合は、このJASRACへの手続きで著作権隣接権の許諾も一括して得られる仕組みになっています。
まずは「音楽には複数の権利者が関わっていて、JASRACがそれをまとめてくれている」という点を覚えておくだけで十分です。
JASRACは音楽の権利者と利用者を繋ぐ重要な架け橋の役割を担っている
JASRACは、先ほどご説明した「著作権」を持つ数多くの作詞家や作曲家から権利の管理を委託されています。
そして、私たちのような音楽を使いたい人(利用者)との間に立ち、非常に複雑な権利関係を整理し、手続きをシンプルにしてくれる存在です。
もしJASRACのような団体がなければ、私たちはお店で一曲音楽を流すたびに、その曲の作詞家と作曲家をそれぞれ自分たちで探し出し、「お店で流させてください」と直接交渉して許可を得なければなりません。
これは、時間も手間もかかりすぎて、全く現実的ではありませんよね。
JASRACは、その煩雑きわまりない手続きを全て代行し、私たちが簡単な手続きで膨大な数の音楽を使えるようにしてくれる、いわば音楽利用の「総合案内窓口」のような、なくてはならない役割を果たしているのです。
なぜサロンで音楽を流す時にJASRACへの手続きが必要になるのか
サロンという「不特定多数の客=公衆」が集まる場所で、営利を目的としてCDなどの音楽を再生する行為は、著作権法で「演奏」と定義されています。
そして、著作者の許可なく公に「演奏」することは、著作権法で禁止されています。これが、手続きが必要となる法的な根拠です。
JASRACは、先述の通り、国内で流通しているほとんどの楽曲の著作権を管理しています。そのため、私たちがサロンのBGMとして使いたいと思うJ-POPや歌謡曲、映画音楽、洋楽などの多くが、その管理対象となっています。
したがって、これらの楽曲をお店で安心して流すためには、その楽曲の管理者であるJASRACへ申請し、許可を得る(専門用語で「許諾を得る」と言います)ための手続きが、法律上の義務として不可欠になるのです。これは、お店の規模の大小や、美容室・エステ・ネイルサロンといった業種に関わらず、等しく適用される大切なルールです。
あなたのサロンはどのケース?BGMの著作権手続きが必要な場合と不要な場合
「もしかしたら、うちのサロンは例外的に手続きが要らないケースに当てはまるかも?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
確かに、全てのケースでJASRACへの手続きが必要というわけではありません。ごく一部、例外的に手続きが不要なケースも存在します。
ここでは、あなたのサロンが手続きの「必要なケース」に該当するのか、それとも「不要なケース」に当てはまるのかを、具体的な例を挙げて分かりやすく解説します。ご自身の状況と照らし合わせて、じっくり確認してみてください。
BGM利用のケース分け
【手続きが必要なケース】
・市販のCDやレコードを再生する
・パソコンやスマートフォンに取り込んだ音楽データを再生する
・YouTubeや個人向け音楽配信サービスを流す(※規約違反にも該当)
【手続きが不要なケース】
・家庭用の受信機でラジオやテレビをそのまま流す
市販のCDやダウンロードした音楽をBGMとして流す場合は手続きが必須
もしあなたが、CDショップで購入したお気に入りのアーティストのアルバムや、iTunes Storeなどで購入しパソコンに保存している音楽データをサロンのBGMとして使いたい、と考えているのであれば、JASRACへの手続きは絶対に必須です。
これらは全てJASRACの管理楽曲である可能性が非常に高く、お店での利用は先ほど説明した「演奏利用」に明確に該当するためです。
また、特に注意が必要なのが、個人契約のApple MusicやSpotifyといったストリーミングサービスです。これらを店のスピーカーに繋いで流す行為は、各サービスの利用規約で商用利用が明確に禁止されており、かつ著作権法にも触れるため、絶対に行ってはいけません。
テレビやラジオをそのまま流す場合は例外的に手続きが不要になる
意外に思われるかもしれませんが、お店のBGMとして家庭用のテレビやラジオの放送を、音響設備を加えずにそのまま流すだけであれば、JASRACへの手続きは原則として不要です。
これは、テレビ局やラジオ局といった放送事業者が、番組で音楽を流す際に、すでにJASRACへ包括的な使用料を支払っているためです。
そのため、その放送を受信してそのまま流すだけのお店側が、二重に使用料を支払う必要はない、という考え方に基づいています。
ただし、これはあくまで家庭用の受信機を使い、天井にスピーカーを増設するなどの特別な音響設備を使わず、そのまま流す場合に限定されます。お店の雰囲気に合えば、ラジオを流すのは最も手軽でコストのかからない方法の一つと言えるでしょう。
著作権の保護期間が切れたクラシック音楽を流す場合の注意点
「クラシック音楽なら、作曲者が亡くなってから時間が経っているから著作権が切れていて大丈夫」と聞いたことがあるかもしれません。
確かに、作曲家の死後70年が経過した楽曲は著作権が消滅し、誰でも自由に利用できる「パブリックドメイン」という状態になっているため、作詞家・作曲家に対する著作権使用料は発生しません。
しかし、ここで注意が必要なのが、先ほど説明したもう一つの権利、「著作権隣接権」です。
たとえ曲自体の著作権(ベートーヴェンの著作権)が切れていても、その曲を演奏したオーケストラやピアニスト、そしてそれを録音してCDとして販売したレコード会社には、まだ権利が残っているのです。
そのため、市販のクラシック音楽のCDをBGMとして流す場合は、結局この著作権隣接権の処理が必要となり、JASRACへの手続きが必要になるケースがほとんどです。自分でピアノを弾いて演奏した場合は問題ありませんが、現実的ではないでしょう。
実践編!JASRACへ音楽利用の許諾手続きを行う具体的なステップと流れ
ここからは、いよいよ実践編です。実際にJASRACへ手続きを行うための具体的な手順を、一つずつ丁寧に解説していきます。
「何から手をつければいいのか全くわからない」という方でも、この章を順番に読んでいけば、迷うことなく手続きを進めることができます。
近年はオンラインで全て完結する方法も用意されており、あなたが想像しているよりもずっと簡単だと感じるはずです。
- JASRAC公式サイトで申込書の種類を確認する
- 申込書に店舗情報(面積など)を記入する
- オンラインシステム「J-TAKT」を利用して申し込む
- 手続き完了後、送られてくるステッカーを掲示する
手続きの第一歩はJASRACの公式サイトで申込書の種類を確認することから
まずは、JASRACの公式サイトにアクセスすることから始めましょう。
トップページにある「JASRACへの手続き」や「各種お申し込み」といったメニューを探してください。
サイト内には、利用する場面(コンサート、インターネット配信、店舗でのBGMなど)に応じた様々な申込書が用意されています。
あなたの場合は、サロンのような店舗でBGMを利用することになるので、「BGM利用のお申し込み」や「店舗等でのBGM」といった項目を選ぶことになります。
どの申込書が自分のケースに該当するのかをよく確認し、PDF形式でダウンロードして郵送するか、より簡単なオンライン手続きのページへ進みましょう。
申込書に記入する項目とは?サロンの店舗面積や業種など手続きに必要な情報
申込書には、契約者であるあなたの氏名や住所といった基本情報に加えて、お店に関する情報を記入する必要があります。
具体的に必要となる主な情報は以下の通りです。
- お店の名称と所在地
- お店の業種(例:美容業、飲食店、物販店など)
- お店の面積(平方メートル単位)
特に「お店の面積」は、後述する著作権使用料を算出するための基礎となるため、正確に記入することが非常に重要です。
お客様が利用する施術スペースや待合室など、BGMが流れる全てのエリアの広さを、事前にメジャーなどを使って測っておくと手続きがスムーズに進みます。もし不明な点があれば、JASRACの各支部(お近くのオフィス)に電話で問い合わせると、担当者が親切に教えてくれます。
オンラインで完結するJASRACの便利な手続きシステムJ-TAKTの利用方法
最近では、書類を印刷して郵送する手間を省き、インターネット上ですべての手続きを完結できるオンラインシステム「J-TAKT(ジェイタクト)」が非常に便利でおすすめです。
JASRACの公式サイトからJ-TAKTのページにアクセスし、まずは新規利用登録を行います。
あとは画面の指示に従って、先ほどご説明した店舗の名称や面積といった情報を入力していくだけで、簡単に見積もり金額の確認から申し込みまでを一度に行うことができます。
支払いもクレジットカードやコンビニ払いに対応していることが多く、日々のサロンワークで忙しいオーナー様にとっては、時間と手間を大幅に削減できる最も効率的な方法です。
手続き完了後に送られてくるJASRACマークのステッカーとその大切な意味
無事にオンラインでの申し込みや書類の提出が完了し、契約が成立すると、JASRACから許諾契約を結んだ証として、JASRACのロゴが入ったステッカーが郵送されてきます。
このステッカーをお店の入口のドアやレジカウンターの周りなど、お客様から見える場所に貼っておくことには、非常に大切な意味があります。
それは、このサロンが正規に著作権の手続きを行い、法令を遵守したクリーンな店舗運営をしていることを、対外的に証明するという役割です。
これは、お客様や取引先からの信頼を得る上で非常に重要ですし、万が一、JASRACの職員が利用状況の調査に訪れた際にも、このステッカーが正しく手続きを済ませている何よりの証拠となります。
一番気になるJASRACへの手続き費用は?音楽サロンの規模別にBGM使用料をシミュレーション
手続きの方法が具体的にわかったところで、次にあなたが一番気になるのは「一体、費用はいくらかかるのか?」という点でしょう。
ご安心ください。JASRACに支払う著作権使用料は、あなたが想像するような法外に高額なものでは決してありません。
ここでは、一般的なサロンの規模を例に挙げて、年間の使用料が具体的にどれくらいになるのかをシミュレーションしてみます。きっとその手頃さに驚くはずです。
驚きの安さ!
多くの個人サロンが該当する「店舗面積500㎡まで」の区分では、年間の使用料はわずか6,000円(税別)です。
月額に換算すると、たったの500円。ジュース数本分のお値段で、1年間安心して好きな音楽を流し放題になります。
店舗の面積によって決まる!JASRACが定めるBGM使用料の料金体系
JASRACのBGMに関する著作権使用料は、非常に明快でシンプルな料金体系になっています。
料金は、主にお店の「BGMが流れる空間の面積」によって、年間の使用料が段階的に定められています。
お店の面積が広くなるほど、より多くのお客様に音楽が届くことになるため、料金もそれに比例して少しずつ高くなっていく、という合理的な仕組みです。
最初の基準となる区分が「500平方メートルまで」となっており、ほとんどの個人経営のサロンや小規模な美容室は、この範囲に収まるでしょう。この明朗会計な料金体系により、不当に高額な請求をされる心配は一切ありません。
小規模なネイルサロンやプライベートサロンの場合の年間使用料の目安
例えば、店舗面積が50平方メートル程度の、比較的こぢんまりとしたネイルサロンや、マンションの一室で営業しているプライベートエステサロンなどを想定してみましょう。
JASRACの料金規定では、これらのサロンが該当する「500平方メートルまで」の店舗の場合、年間の使用料は定額で6,000円(税別)となっています。
これを月額に換算すると、わずか500円です。
このワンコインの金額で、JASRACが管理する数えきれないほどのJ-POPや洋楽などの楽曲を、一年間、著作権を気にすることなく安心して自由に流せるのです。思ったよりもずっと手頃な価格だと感じたのではないでしょうか。
複数店舗を展開する中規模以上の美容サロンの場合の料金計算方法
もしあなたが複数の店舗を経営している場合や、1フロアの面積が500平方メートル(約150坪)を超えるような大型の美容室を運営している場合は、料金計算が少し変わってきます。
JASRACの料金規定は、500平方メートルを超える店舗については、面積に応じて500平方メートルごとに料金が加算されていく仕組みになっています。
また、複数店舗を経営している場合は、原則として店舗ごとに契約を結び、それぞれの店舗の面積に応じた使用料を支払う必要があります。
ご自身のケースでの正確な料金を知りたい場合は、JASRACの公式サイトにある料金シミュレーターを利用するか、先ほどご紹介したオンライン手続きシステム「J-TAKT」で見積もりを取得するのが、最も確実で早い方法です。
JASRAC手続きは面倒?もっと手軽に音楽サロンのBGMを流すための代替案3選
JASRACへの手続きがルールだと頭では分かっていても、「日々の業務が忙しくて、自分でCDを選ぶ時間がない」「もっと手軽に、プロが選んだようなおしゃれなBGMを流したい」と感じる方も少なくないでしょう。
そんな現代のサロンオーナー様のニーズに応えるため、近年ではJASRACへの面倒な手続きが一切不要で、かつ簡単に質の高いBGMを流せる素晴らしいサービスが数多く登場しています。
ここでは、特にサロン経営者様におすすめの代替案を3つ、具体的にご紹介します。
- 店舗向けBGMアプリ:スマホやタブレットで手軽に始められる
- 有線音楽放送サービス:昔ながらの信頼と実績
- 著作権フリー音源サイト:コストを徹底的に抑えたい方向け
選択肢その1!プロが選曲したチャンネルを流すだけの店舗向けBGMアプリ
現在、最も人気があり、最も手軽に始められる方法が「店舗向けBGMアプリ」です。
これは、お手持ちのスマートフォンやタブレットに専用のアプリをインストールし、お店のスピーカーに接続するだけで、音楽のプロが選曲した数百から数千ものBGM専用チャンネルを自由に流せるという画期的なサービスです。
代表的なサービスとしては、「モンスター・チャンネル」や「OTORAKU -音・楽-」などが有名です。
これらのサービスの最大のメリットは、月額2,000円前後の料金にJASRACへの支払いも全て含まれている点です。そのため、あなたは面倒な著作権手続きを一切気にすることなく、契約したその日から合法的に音楽を流し始められます。「リラックスできるボサノバ」「おしゃれなカフェジャズ」「最新J-POPランキング」など、業種や時間帯に合わせたチャンネルが豊富に用意されており、選曲に悩む時間も節約できます。
選択肢その2!専用チューナーを設置する昔ながらの有線音楽放送サービス
昔から店舗BGMの定番として広く知られているのが、株式会社USENが提供するサービスに代表される「有線音楽放送サービス」です。
これは、専門の業者がお店に来て専用のチューナー(受信機)を設置し、そこから様々なチャンネルの音楽を流すという、昔ながらの安定した方式です。
BGMアプリと同様に、著作権に関する手続きは全てサービス会社側が行ってくれるため、あなたは安心して利用できます。
USENの強みは、その圧倒的なチャンネル数と、通信環境に左右されない音質の安定性、そしてトラブル時の手厚いサポート体制にあります。初期工事が必要な場合があったり、月額料金がアプリ型に比べて少し高め(月額4,000円~)な傾向はありますが、機械の操作が苦手な方や、信頼と実績を何よりも重視する方には、今もなお根強い人気があります。
選択肢その3!完全に無料で利用できる著作権フリー音源サイトの活用
コストをもう徹底的に、1円でも抑えたいという場合には、「著作権フリー音源」を利用するという最終手段もあります。
これは、音楽クリエイターが「私の作った曲は、商用利用も含めて自由に使って良いですよ」とインターネット上で公開している音楽のことで、「DOVA-SYNDROME」や「HURT RECORD」といった専門サイトで、数多くの楽曲を無料でダウンロードできます。
ただし、この方法にはいくつかの注意点もあります。
まず、プロが制作した市販の楽曲に比べると、どうしても楽曲のクオリティにばらつきがあることです。また、サイトや楽曲ごとに利用規約が異なり、「商用利用はOKだが、サイト名のクレジット表記が必要」といった条件が付いている場合があるため、利用前に必ず確認が必要です。そして、当然ながら有名なアーティストの曲は一切ないため、BGMとしての華やかさや話題性には欠けるかもしれません。
店舗向けBGMサービス徹底比較!あなたのサロンに最適なサービスの選び方
先ほどご紹介した「店舗向けBGMサービス」は、今やサロンBGMの主流となりつつあります。
しかし、様々なサービスがあって、結局どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
ここでは、代表的なサービスを比較しながら、あなたのサロンの状況や「何を一番重視するか」というこだわりに合わせて、どのサービスが最適なのかを選ぶための具体的なポイントを解説します。
料金と手軽さを最優先するならモンスターチャンネルなどのアプリ型サービス
「とにかく初期費用を抑えたい」「契約したらすぐにでもBGMを流したい」「機械の設置工事などは面倒」という方には、間違いなくアプリ型のBGMサービスがおすすめです。
代表的なサービスである「モンスター・チャンネル」は、月額1,880円(税別)から利用でき、初期費用も一切かかりません。
お手持ちのスマートフォンやタブレット、パソコンがあれば、アプリをダウンロードしてアカウントを登録するだけで、その日のうちから利用を開始できます。
世界中の500万曲以上からプロが作成した1,000を超える専門チャンネルがあり、「美容室向け」「エステ・サロン向け」といった業種別のおすすめチャンネルも充実しているため、選曲に失敗する心配もありません。コストパフォーマンスと導入の手軽さを求めるなら、まず第一に検討すべき選択肢です。
豊富な楽曲数と信頼性を重視するならUSEN MUSICなどの有線放送型サービス
「BGMには徹底的にこだわりたい」「誰もが知っている最新のヒット曲を常に高音質で流したい」「万が一のトラブル時にもすぐに対応してくれるサポート体制が欲しい」という本格志向の方には、USENが提供する「USEN MUSIC」のような有線放送型サービスが最適です。
長年の店舗BGM提供で培われた実績に裏打ちされた盤石のサービスで、トラブル時のサポートも万全です。
最新のJ-POPヒットチャートなども、CDの発売とほぼ同時に配信されるなど、楽曲の更新頻度と網羅性は他のサービスの追随を許しません。
導入工事や専用チューナーの設置が必要になりますが、それに見合うだけの品質と絶対的な安心感を得られるでしょう。お店のブランドイメージをBGMで確立したい、と考えるサロン経営者様におすすめです。
音楽配信サービスOTORAKUの持つプレイリスト作成機能の魅力
もしあなたが、「プロが作った既存のチャンネルをただ流すだけでは物足りない」「自分だけのこだわりの選曲で、唯一無二の空間を作りたい」と考えているなら、リクルートが提供する「OTORAKU -音・楽-」というサービスが面白い選択肢になります。
OTORAKUもアプリ型の店舗BGMサービスですが、最大の特徴は、プロが作ったチャンネルを流す機能に加えて、数百万曲の中から自分で好きな曲を選んで、オリジナルのプレイリストを作成できる機能がある点です。
JASRACなどへの権利処理はもちろんサービス側が全て行ってくれるため、あなたは著作権を一切気にすることなく、合法的に自分だけのこだわりの空間を音楽で自由に演出できます。BGMを通じて自分の創造性を発揮したい、こだわり派のオーナー様にぴったりのサービスです。
著作権手続きを無視して音楽を流すとどうなる?サロン経営者が知るべきリスク
「手続きはなんだかんだ面倒だし、うちみたいな小さなお店、バレなければ大丈夫だろう」…。
そんな風に考えてしまう気持ちも、少しは分かります。しかし、著作権の手続きを怠ることは、あなたが思っている以上に遥かに大きなリスクを伴います。
ここでは、万が一、無断で音楽を流してしまった場合に起こりうる具体的なトラブルや罰則について、包み隠さず解説します。安心してサロン経営を続けるためにも、必ず知っておいてください。
- リスク1:金銭的リスク(過去に遡った使用料や賠償金の請求)
- リスク2:法的リスク(懲役や罰金といった刑事罰の可能性)
- リスク3:信用的リスク(お店の評判失墜による客離れ)
JASRACからの警告や高額な賠償金請求に繋がる可能性について
JASRACは、専門の職員が全国の店舗を一件一件訪問したり、電話で確認したりして、BGMが適正に利用されているかを日常的に調査しています。
もし無断利用が発覚した場合、まずは利用状況の報告を求める通知書が届き、正規の手続きを促されます。
これを無視し続けると、悪質なケースと判断され、民事訴訟に発展する可能性があります。
その場合、過去に遡って通常の使用料を支払うだけでなく、それに加えて割増金を含めた高額な損害賠償を請求される可能性があります。
たった年数千円の手続きを怠ったばかりに、何十万円もの支払いを命じられるケースも実際に発生しており、サロンの経営に大きな打撃を与えかねません。
著作権侵害は懲役や罰金を科される可能性がある立派な犯罪行為である
著作権法違反は、民事上の損害賠償請求だけに留まらず、刑事罰の対象にもなる、れっきとした犯罪行為です。
著作権を侵害した場合、法律では「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」という、非常に重い罰則が定められています。
もちろん、BGMの無断利用で即座に逮捕されるようなケースは稀ですが、法律上はこれほど重い罪に問われる可能性がある、という事実は、一人の経営者として重く受け止める必要があります。
日々の運営に安心して集中するためにも、法的なリスクは完全に取り除いておくべきです。
お店の社会的信用を失うという見えない大きなダメージについて
もし、あなたのサロンが著作権侵害でJASRACから訴えられたり、その事実がインターネットニュースなどで報道されたりしたら、一体どうなるでしょうか。
お客様は「ルールを守れない、だらしないお店」というネガティブな印象を抱き、大切にしてきた常連様でさえも足が遠のいてしまうかもしれません。
また、取引のある業者や、融資を受けている金融機関からの信用も一気に失墜し、今後の事業展開に深刻な影響を及ぼす可能性も十分に考えられます。
目先のわずかな費用と手間を惜しんだ結果、これまでコツコツと築き上げてきたお店の評判や信頼という、お金では決して買えない最も大切なものを、一瞬で失ってしまう計り知れないリスクがあるのです。コンプライアンス(法令遵守)は、現代のビジネスにおいて最も重要な経営基盤の一つです。
これで安心!音楽サロンのコンセプトに合わせたBGMの選び方と著作権手続きの最終チェック
著作権の問題を無事にクリアできたら、いよいよ最もクリエイティブで楽しいBGM選びのステップです。
音楽は、ただの「音」ではありません。お客様の気分を左右し、空間の印象を決定づけ、ひいてはサロンのブランドイメージそのものを形作る、非常に重要な要素です。
ここでは、あなたのサロンの魅力を最大限に引き出すためのBGM選びの具体的なヒントと、安心してBGMを流すための最終的なチェックポイントをまとめました。
リラクゼーションサロンには歌詞のないアンビエントミュージックや自然音がおすすめ
お客様が心と身体を預け、深いリラックスを求めて来店されるエステサロンやリラクゼーションマッサージのサロンでは、主張の強い音楽は避けるのが鉄則です。
特に、日本語や英語の歌詞があるポップスは、お客様の意識を歌詞の内容や意味に向けさせてしまい、瞑想的なリラックス状態を妨げてしまうことがあります。
そこでおすすめなのが、歌詞のない、ゆったりとしたテンポのアンビエントミュージックや、ヒーリングミュージック、ポストクラシカルといったジャンルです。
また、川のせせらぎや鳥のさえずり、波の音といった自然音をミックスしたBGMを取り入れるのも非常に効果的です。音量を少し絞り気味に、「鳴っている」のではなく「空間に溶け込んでいる」ように流すのがポイントです。
おしゃれでモダンな美容室には洋楽のジャズやラウンジミュージックが最適
トレンドに敏感な若い顧客層が多く集まる、モダンでスタイリッシュな内装の美容室やネイルサロンには、洗練された非日常的な雰囲気のBGMがよく合います。
例えば、軽快でおしゃれなスウィングジャズや、落ち着いた大人の雰囲気のラウンジミュージック、海外のブティックホテルで流れているようなチルアウト系の音楽、カフェの定番であるボサノバなどが良いでしょう。
これらの音楽は、空間に高級感と特別感を演出し、施術を受けている時間そのものの満足度を高めてくれます。
店舗向けBGMアプリなどでは「スタイリッシュ」「カフェジャズ」「アーバンナイト」といったコンセプトに合わせた専門チャンネルが豊富に用意されているので、そういったものを活用するのも非常に効率的でおすすめです。
最終確認!選んだBGMを流す方法が著作権手続き上問題ないかをチェック
あなたのサロンにぴったりの素敵なBGMの方向性が決まったら、最後にその音楽を流す方法が法的にクリーンで、問題がないかを最終チェックしましょう。
この最後の確認を習慣づけることが、あなたの継続的な安心に繋がります。
- 【JASRACに直接手続きした場合】
契約は現在も有効期間内か?更新手続きは済んでいるか? - 【店舗向けBGMサービスを利用した場合】
契約しているサービスが、きちんとJASRAC等の権利処理を行っている信頼できる業者であるか?解約していないか?
もし自分で購入したCDを流すのであれば、JASRACへの手続きが完了しているか、契約の有効期間内であるかを改めて確認します。
もし店舗向けBGMサービスを利用するのであれば、そのサービスが信頼できる正規の事業者であることを再確認しましょう。この「念のための最終チェック」を怠らないことが、未来のトラブルを防ぐ一番の特効薬です。
まとめ:音楽サロンのBGMは正しい著作権手続きで安心安全な空間を演出しよう
今回は、多くのサロン経営者様が悩みがちな、BGMに関する著作権の問題と、その具体的な解決策について詳しく解説してきました。
最後に、この記事の最も重要なポイントを一緒に振り返り、あなたが今日から何をすべきかを明確にしましょう。
市販の音楽を流すならJASRACへの手続きか店舗向けBGMサービスの利用が必須
本記事で繰り返しお伝えしてきた通り、お客様のために営利目的で音楽を流すサロンでは、著作権の手続きが法律上の義務として課せられています。
その方法は、大きく分けて二つしかありません。
一つは、自分でJASRACへ直接申し込み、年間の著作権使用料を支払う方法。
そしてもう一つは、著作権処理を全て代行してくれる「モンスター・チャンネル」や「USEN」といった店舗向けBGMサービスを利用する方法です。
どちらの方法を選ぶにせよ、必ずこのどちらかの正規の手続きを踏むことが、サロン経営者としての社会的責任であり、あなたの大切なお店を法的なリスクから守る唯一の方法です。
あなたのサロンに最適な方法はコストや手間を考えて選ぶのがおすすめ
JASRACへ直接手続きする方法は、年間6,000円(税別)からと最も安価に済ませられるのが最大のメリットですが、自分でBGM用のCDを用意したり選曲したりする手間がかかります。
一方、店舗向けBGMサービスは月額2,000円前後からと直接契約よりは少し割高になりますが、選曲の手間が一切省け、面倒な手続きも不要で非常に手軽です。
どちらが良い、悪いという話ではなく、あなたのサロンの規模、BGMにかけられるコスト、そしてあなたがBGMにかけたい手間やこだわりを総合的に判断して、ご自身にとって最もストレスのない、最適な方法を選ぶことが大切です。
まずは各社のウェブサイトを訪れ、サービス内容や料金プランをじっくり比較検討してみることを心からお勧めします。
正しい知識と手続きで音楽の力を最大限に活用しお客様に愛されるサロンを作ろう
音楽には、人の心を深く癒し、空間の価値を何倍にも高める不思議な力が宿っています。
正しい著作権の知識を身につけ、適切な手続きを行うことは、素晴らしい音楽をこの世に生み出してくれたアーティストたちへの敬意を示すと同時に、あなたの大切なお店を予期せぬ法的なリスクから守るための、最も賢明な「守りの投資」です。
著作権の問題をクリアにし、心から安心して素敵な音楽を流せる環境を整え、お客様が「またあの心地よい空間に行きたい」と何度も足を運びたくなるような、魅力あふれる愛されるサロン作りを目指してください。
この記事が、その大切な一歩を踏み出すための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
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