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お客様に聞かれてももう迷わない!個人サロンの領収書の書き方、但し書きの例文、印鑑のルールをステップ解説

個人でエステサロンやネイルサロン、リラクゼーションサロンなどを経営されているオーナー様の中には、お客様から「領収書をください」と言われた際に、書き方に戸惑ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に但し書きや印鑑のルール、収入印紙の必要性などは、知っているようで意外と曖昧な部分が多いものです。

この記事では、個人サロンのオーナー様が自信を持ってお客様に領収書をお渡しできるよう、基本的な書き方のステップから、具体的な但し書きの例文、印鑑のルール、さらには収入印紙の知識まで、初心者の方にも分かりやすく具体的に解説します。

この記事を読めば、領収書に関するあらゆる疑問が解決し、お客様からの信頼もさらに高まるはずです。

目次

【結論】個人サロンで信頼を得るための正しい領収書の書き方ステップ

お客様に領収書をお渡しする際、最も重要なのは必要事項を漏れなく正確に記載することです。

これができていないと、お客様が経費として計上できないなど、ご迷惑をおかけする可能性があります。

ここでは、誰でもすぐに実践できる、正しい領収書の書き方を5つのステップに分けて具体的に解説します。

この手順通りに進めれば、もう領収書の書き方で迷うことはありません。

領収書の書き方5ステップ

  1. 宛名:お客様に確認し、会社名や個人名を正確に記入する
  2. 日付:実際に代金を受け取った年月日を記入する
  3. 金額:改ざん防止のルールに沿って明確に記入する
  4. 但し書き:具体的なサービスや商品内容を記入する
  5. 発行者情報:サロンの名称・住所・連絡先を記入する

まずは宛名をお客様に確認し会社名や個人名を正確に記入するルール

領収書の書き方で最初のステップは、宛名を正確に記入することです。

宛名は、代金を支払った個人または法人を明確にするための重要な項目で、これがなければ経費として認められない場合もあります。

お客様から「領収書をお願いします」と言われたら、まず「お宛名はいかがいたしましょうか?」と必ず確認しましょう。

個人の場合はフルネームで、法人の場合は「株式会社ABC」のように、(株)などと略さず正式名称で記載するのが基本ルールです。

お客様によっては「上様(うえさま)」で良いと言われることもありますが、税務上の観点からは、誰が支払ったのかを特定できないため望ましくありません。

特に高額な取引の場合は、後々のトラブルを避けるためにも、お客様の経理処理がスムーズに進むよう、正式な宛名を確認することをおすすめします。

日付は実際に金銭を受け取った年月日を正確に記載する書き方

次に記載するのは日付です。

領収書の日付は、実際にサービスや商品の対価として金銭を受け取った年月日を記入します。

例えば、お客様が施術を受けた日と、後日お支払いに来店された日が異なる場合は、お支払いいただいた日を記載するのが正しいルールです。

この日付は、お客様が経費を計上する上で非常に重要な情報となりますので、西暦(2024年)でも和暦(令和6年)でも構いませんが、必ず正確に記入してください。

空欄にしたり、未来や過去の日付を適当に書いたりすることは絶対に避けましょう。

市販の領収書用紙には、あらかじめ「年・月・日」と印字されていることが多いので、それに沿って事実に基づいた日付を記入すれば間違いありません。

金額は改ざん防止のために漢数字やチェックマークを活用する書き方

金額の記入は、領収書の中でも特に慎重に行うべき部分です。

後から数字を書き加えられたり、書き換えられたりする「改ざん」を防ぐためのルールがいくつか存在します。

まず、金額の先頭には「¥」や「金」といった記号をつけ、末尾には「-」や「※」、「也」などを記載して、前後に数字を追記できないようにします。

(例:「¥10,000-」や「金 10,000円也」)

より丁寧な書き方として、会計の現場では「壱、弐、参」といった大字(だいじ)と呼ばれる旧字体の漢数字を使用することもありますが、個人サロンではアラビア数字でも問題ありません。

大切なのは、誰が見ても明確に金額がわかるように、はっきりと丁寧に書くことです。

数字と数字の間隔を不自然に空けないことも、改ざん防止のポイントです。

但し書きはお客様の経費申請を考えた具体的な内容にする書き方

但し書きは、「何に対して支払われた代金なのか」を具体的に示すための項目です。

お客様が経費として計上する際に、その支払いが事業に関連するものであることを証明するために非常に重要になります。

単に「お品代として」と書くのは避けましょう。

これでは内容が不明瞭で、税務署から経費として認められない可能性があります。

本日施術代として」や「化粧品代として」など、提供したサービスや販売した商品の内容がわかるように具体的に記載するのが親切です。

もし、施術と物販を同時に行った場合は、「施術代及び商品代として」のようにまとめて記載するか、内訳を備考欄に書くとより丁寧です。

お客様から指定があった場合はその内容で記載しますが、社会通念上、経費として認められないような内容(例:明らかに個人的なプレゼント代など)での発行は避けましょう。

発行者情報として個人サロンの名称と住所を明確に記載するルール

最後に、誰がこの領収書を発行したのかを証明する発行者情報を記載します。

これが記載されていない領収書は、法的に無効です。

個人サロンの場合、①サロンの正式名称、②サロンの住所、そして③連絡先である電話番号を明記するのが一般的です。

市販の領収書には発行者欄が印刷されているものが多いですが、手書きする場合は忘れずに記入しましょう。

あらかじめサロン名や住所、電話番号が入ったスタンプ、例えばサンビー株式会社が販売している「クイックスタンパー」のような住所印を作成しておくと、毎回手書きする手間が省けて非常に便利です。

この発行者情報がなければ、その領収書は有効なものとして認められない可能性があるため、必ず正確に記載してください。

個人サロンの領収書作成で絶対に押さえるべき必須項目とは

先ほどのステップで解説した内容は、実は法律で定められた領収書の要件と深く関わっています。

消費税法では、取引の証拠となる書類(証憑しょひょうといいます)に、特定の項目を記載することが定められています。

ここでは、個人サロンの領収書に最低限必要な項目を改めて確認し、なぜそれが必要なのかという理由も合わせて解説します。

これらの項目を理解することで、より自信を持って領収書を作成できるようになります。

  • 取引先の氏名または名称(宛名)
  • 取引年月日(支払いを受けた日)
  • 取引内容(但し書き)
  • 取引金額(税込み)
  • 領収書発行者の氏名または名称(自店の情報)

支払いを受けた相手を特定するための取引先の氏名または名称の記載

領収書が有効であるためには、まず「誰が支払ったのか」が明確でなければなりません。

これが、先ほど説明した「宛名」に該当します。

お客様の氏名や会社名を正確に記載することで、この取引が確かにその個人または法人との間で行われたものであることを証明します。

税務調査などが入った際に、この宛名が「上様」や空欄だと、本当に事業に関連する支払いだったのかを証明するのが難しくなるケースがあります。

お客様の経理処理をスムーズにするためにも、個人サロン側が宛名の重要性を理解し、正確な記載を心がけるというルールが大切です。

いつ取引があったかを示すための取引年月日の正確な記録

次に重要なのが「いつ支払われたか」を示す取引年月日です。

これは、お客様がどの事業年度の経費として計上するかを判断するための基準となります。

例えば、12月決算の会社が12月31日に支払いをした場合と、翌年1月1日に支払いをした場合では、経費として計上される年が変わってきます。

そのため、個人サロンのオーナーは、実際に金銭を受け取った日付を一日も違わずに正確に記載する義務があります。

この日付がいい加減だと、お客様の決算に影響を与えてしまう可能性もあるため、細心の注意を払いましょう。

取引内容を具体的に示すためのサービスや商品の内容の明記

何に対して支払われたか」を示す取引内容、つまり但し書きも必須項目です。

これがなければ、その支払いが事業に必要な経費だったのか、それとも個人的な支出だったのかを客観的に判断することができません。

例えば、エステサロンで「フェイシャルエステ代として」と書かれていれば事業経費として認められやすいですが、「お品代として」だけでは、それが事業用の化粧品なのか、プライベートのプレゼントなのか区別がつきません。

個人サロンで提供するサービスや商品を具体的に記載することは、お客様への親切心であると同時に、法的に有効な領収書を作成するためのルールでもあるのです。

誰が発行したかを証明するための領収書発行者の氏名または名称

最後に、「誰が支払いを受けたのか」を示す領収書発行者の情報も不可欠です。

個人サロンの名称、住所、連絡先を記載することで、この領収書が確かにあなたのサロンから発行されたものであることを証明します。

もし、この情報がなければ、架空の取引ではないかという疑念を持たれる可能性があります。

会計ソフトで有名な「freee会計」や「マネーフォワード クラウド請求書」などのサービスを利用して領収書を作成する場合も、必ず自店の情報を正確に設定しておく必要があります。

発行者情報は、領収書の信頼性を担保する上で欠かせない要素なのです。

お客様を迷わせない領収書の但し書きの書き方と具体的な例文集

領収書の項目の中でも、特に個人サロンのオーナー様が悩みがちなのが「但し書き」の書き方ではないでしょうか。

「お品代として」が一般的だと思われがちですが、先述の通り、これでは不十分な場合があります。

ここでは、お客様が経費として計上しやすくなる、具体的で分かりやすい但し書きの例文を、サロンの業種別にご紹介します。

これらの例文を参考にすれば、もう但し書きで悩むことはありません。

エステサロンやリラクゼーションサロンで使える但し書きの書き方

エステサロンやリラクゼーションサロンでは、提供するサービスが多岐にわたるため、但し書きも具体的に記載することが望ましいです。

お客様が何のサービスに対して支払いをしたのかが一目でわかるような書き方を心がけるのが、親切な対応のルールです。

良い例 あまり良くない例
フェイシャルコース代として 施術代として
お品代として
アロマトリートメント(60分)代として
痩身エステ施術料として
エステコース5回券代金として(回数券の場合)

複数のサービスを組み合わせた場合は、「フェイシャル及びボディトリートメント代として」のように記載します。

コース名が明確な場合は、コース名をそのまま記載するのが最も分かりやすいでしょう。

ネイルサロンやアイラッシュサロンで役立つ但し書きの具体例

ネイルサロンやアイラッシュサロンも同様に、具体的な施術内容を記載すると良いでしょう。

お客様の利用内容に合わせて柔軟に書き分けることが大切です。

ネイル・アイラッシュサロンの但し書き例

  • ジェルネイル施術料として
  • スカルプチュア代として
  • まつ毛エクステンション(120本)代として
  • ネイルオフ代として

ネイルパーツやケア用品などの物販があった場合は、「ネイルケア用品代として」と別に記載するか、「ネイル施術料及びネイルオイル代として」のようにまとめて記載します。

整体院や鍼灸院など治療目的の場合の但し書きのルール

整体院や鍼灸院など、施術が医療費控除の対象となる可能性がある場合は、但し書きの書き方がさらに重要になります。

医療費控除とは、一年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで税金が還付される制度です。

この場合、「治療代として」や「鍼灸治療費として」と明記することが必須です。

お客様が確定申告で医療費控除を受ける際に、その支払いが治療目的であったことを証明する必要があるためです。

単なるリラクゼーション目的のマッサージと区別するためにも、治療であることを明確に示す書き方のルールを徹底しましょう。

化粧品や美容機器など物販があった場合の但し書きの書き方

個人サロンでは、施術だけでなく化粧品やサプリメント、美容機器などの商品を販売することも多いでしょう。

その場合は、「化粧品代として」「サプリメント代として」「美顔器代として」のように、具体的な商品カテゴリーがわかるように記載します。

もし複数の商品を販売した場合は、主要な商品の名前を記載するか、「化粧品他 計3点」のように書く方法もあります。

レシートを発行している場合は、領収書に「お品代として(詳細はレシート参照)」と記載し、レシートをホチキスで添付するのも有効な書き方です。

個人サロンの領収書に使う印鑑のルールと選び方について

領収書に押す印鑑について、「絶対に必要?」「シャチハタでもいいの?」といった疑問をお持ちの個人サロンオーナー様も多いはずです。

実は、法律上、領収書への押印は必須ではありません。

しかし、日本の商習慣においては、印鑑が押されている方が信頼性が高いと見なされる傾向があります。

ここでは、個人サロンで使う印鑑のルールや、どのような印鑑を用意すれば良いのかについて詳しく解説します。

領収書への押印は法律上の義務ではなく商習慣上のルールである

まず知っておくべき重要な事実は、民法上、領収書に印鑑を押すことは義務付けられていないということです。

先ほど解説した必須項目が記載されていれば、印鑑がなくても領収書としての効力は法的に認められます。

しかし、日本では古くからの商習慣として、発行者の印鑑が押されていることで、その文書が正式なものであるという印象を与える文化が根付いています。

印鑑が押されていることで、領収書の偽造防止や、発行元が確かに承認したという証明になり、受け取った側に安心感を与える効果があります。

そのため、個人サロンにおいても、お客様への信頼の証として印鑑を押すのが一般的なルールとなっています。

個人サロンで使う印鑑は認印や角印が一般的でシャチハタは避けるべき

では、どのような印鑑を使えば良いのでしょうか。

個人サロンの場合、一般的にはサロン名が入った「角印(かくいん)」か、代表者個人の姓が彫られた「認印(みとめいん)」を使用します。

  • 角印:四角い印鑑で、サロン名や屋号が彫られたもの。法人の「社判」にあたるもので、フォーマルな印象を与えます。
  • 認印:朱肉をつけて押す、個人の姓が彫られた一般的な印鑑。

角印は法人格のない個人事業主でも作成でき、ネット通販の「ハンコヤドットコム」などの印鑑作成サービスで数千円から手軽に注文できます。

一方で、インク浸透印である、いわゆる「シャチハタ」は、公的な書類では認められないことが多く、領収書においても避けるのが無難です。

これは、ゴム製の印面が経年劣化で変形し、印影が変わる可能性があるため、正式な証明には適さないとされているからです。

印鑑を押す位置は発行者情報に少し重なるようにするのが正しいルール

印鑑を押す位置にも、慣習上のルールがあります。

一般的には、領収書に記載した発行者情報(サロン名や住所)の右側あたりに、文字情報と少し重なるように押印します。

これは、後から発行者情報だけを書き換えられたり、印鑑だけを別の書類に転用されたりする不正を防ぐための工夫です。

印鑑が文字に重なることで、その書類が一体のものであることを示します。

ただし、これは厳密なルールではなく、発行者情報の右側の空いているスペースに押すだけでも問題ありません。

大切なのは、印影がかすれたり、にじんだりしないように、朱肉を適量つけて、まっすぐきれいに押すことです。

知らないと追徴課税も?領収書の金額に応じた収入印紙のルール

個人サロンのオーナー様が見落としがちなのが「収入印紙」のルールです。

収入印紙とは、印紙税という税金を納めるために、課税対象となる文書に貼り付ける証票のことです。

一定金額以上の領収書を発行する際には、この収入印紙を貼付することが印紙税法で定められています。

もしこれを忘れると、後で税務署から指摘され、本来納めるべきだった税金の3倍もの過怠税(かたいぜい)を支払うことになる可能性もあります。

ここでは、個人サロンが知っておくべき収入印紙の基本ルールについて、分かりやすく解説します。

税抜で5万円以上の領収書を発行する際に収入印紙が必要になる

収入印紙が必要になるかどうかのボーダーラインは、領収書に記載された金額が「税抜で5万円」以上かどうかです。

ここが重要なポイントで、消費税を含んだ金額が5万円を超えていても、税抜価格が5万円未満であることが領収書上で明確に分かれば、収入印紙は不要です。

領収書の記載例 収入印紙
合計 52,800円
(内、消費税額等 4,800円)
不要
(税抜価格が48,000円のため)
合計 52,800円
(税抜価格・消費税額の内訳記載なし)
必要(200円)
(記載金額が5万円以上と見なされるため)

お客様のためにも、そして無駄な税金を払わないためにも、消費税額はきちんと分けて記載する習慣をつけましょう。

収入印紙の金額は領収書の金額によって異なり郵便局やコンビニで購入可能

貼付する収入印紙の金額は、領収書の記載金額(税抜)によって段階的に変わります。

  • 5万円以上 100万円以下:200円
  • 100万円を超え 200万円以下:400円
  • 200万円を超え 300万円以下:600円

個人サロンで発行する領収書は、ほとんどの場合が200円の収入印紙で対応できるでしょう。

この収入印紙は、郵便局や法務局のほか、一部のコンビニエンスストアでも購入することができます。

個人サロンを経営するなら、いざという時のために、200円の収入印紙を数枚、お店にストックしておくと安心です。

収入印紙を貼った後は必ず消印を押すという重要なルール

収入印紙を領収書に貼り付けただけでは、納税したことにはなりません。

その収入印紙が使用済みであることを示すために、必ず「消印(けしいん)」を押す必要があります。

消印は、印紙の再利用を防ぐための重要なルールです。

消印には、領収書に使用した印鑑と同じものを使うのが一般的ですが、もし印鑑がない場合は、発行者の署名(サイン)でも構いません。

消印は、領収書の紙面と収入印紙の両方にまたがるように、はっきりと押印または署名します。

これを忘れると、印紙を貼っていない場合と同じように過怠税の対象となる可能性があるので、絶対に忘れないようにしましょう。

個人サロンでは領収書とレシートどちらが適切?それぞれの役割とルール

最近では、個人サロンでもPOSレジを導入し、詳細なレシートを発行するところが増えています。

お客様から「領収書を」と言われた際に、レシートをお渡しするだけで良いのか、それとも手書きの領収書を発行すべきか、迷うこともあるでしょう。

ここでは、領収書とレシート、それぞれの法的な効力や役割の違い、そして個人サロンでの適切な使い分けのルールについて解説します。

必要な項目が記載されていればレシートも法的に有効な領収書となる

結論から言うと、法的には、先ほど解説した「取引年月日」「取引内容」「取引金額」「発行者情報」といった必須項目がきちんと印字されていれば、レジから発行されるレシートも領収書として十分に通用します。

最近のPOSレジ、例えば「Airレジ」や「スマレジ」などは、これらの情報を網羅した詳細なレシートを発行できるため、税務上も問題なく証憑(しょうひょう)として認められます。

むしろ、手書きの領収書よりも取引内容が詳細に記載されているため、信頼性が高いと判断されることさえあります。

宛名が必要なお客様のために手書きの領収書も用意しておくべき

レシートが法的に有効だとしても、お客様によっては、会社の経費精産の社内ルールで「宛名入りの領収書」が必要な場合があります。

一般的なレシートには、購入者の宛名を印字する機能はありません。

そのため、お客様から「会社名で領収書をお願いします」と依頼された場合に備えて、手書きの領収書用紙も必ず用意しておくべきです。

文房具店の「伊東屋」や「ロフト」、または事務用品を扱う「アスクル」などで、控えが残る複写式の領収書を購入しておきましょう。

お客様の要望に柔軟に対応できる体制を整えておくことが、個人サロンのサービス向上に繋がります。

高額な取引の場合は手書きの領収書の方が丁寧な印象を与える

法的な効力とは別に、お客様に与える印象という観点も重要です。

例えば、高額なコース契約や美容機器の販売など、数十万円単位の取引になった場合、レシートを一枚渡すだけでは少し素っ気ないと感じられるかもしれません。

このようなケースでは、たとえ詳細なレシートを発行したとしても、合わせて手書きの領収書を丁寧にお渡しすることで、お客様に対する感謝の気持ちや、取引の重要性を伝えることができます。

TPOに応じてレシートと手書き領収書を使い分けるのが、スマートな個人サロンの対応ルールと言えるでしょう。

領収書の書き方を間違えた時の訂正ルールとお客様への伝え方

どんなに気をつけていても、人間ですから、領収書の金額や宛名を書き間違えてしまうことはあります。

そんな時、慌てて二重線で消して訂正印を押せば良いのでしょうか?

実は、領収書の訂正には正しいルールがあり、間違った対応はお客様に不信感を与えかねません。

ここでは、書き損じた際の正しい訂正ルールと、スマートな再発行の方法について解説します。

領収書の金額を訂正することは原則として認められていない

まず大原則として、領収書の中でも最も重要な「金額」については、二重線での訂正は認められていません。

もし金額を書き間違えてしまった場合は、その領収書は破棄し、新しい用紙に一から書き直すのが唯一の正しい対応です。

なぜなら、金額が訂正されている領収書は、後から改ざんされたのではないかという疑いを持たれやすく、税務上の証憑として認められない可能性が非常に高いからです。

お客様にご迷惑をおかけしないためにも、金額の訂正は絶対にしないというルールを徹底してください。

金額以外の軽微な間違いは二重線と訂正印で対応可能

金額以外の項目、例えば宛名や但し書きの漢字を少し間違えた、といった軽微なミスの場合は、訂正が可能です。

その際の正しいルールは、以下の通りです。

  1. 間違えた箇所に定規などを使ってきれいな二重線を引く
  2. その上か近くの余白に正しい内容を記入する
  3. 二重線の上から発行者の印鑑(訂正印)を押す

訂正印は、領収書に使用した印鑑と同じものを使います。

修正液や修正テープを使って消すのは、改ざんを疑われる原因になるため絶対にNGです。

もし訂正箇所が多くなって見栄えが悪くなってしまった場合は、無理に訂正せず、新しい用紙に書き直す方が親切です。

書き損じた領収書は破棄せずバツ印を付けて保管するのがルール

お客様にお渡しする前に書き損じてしまった領収書は、どのように処理すれば良いのでしょうか。

ビリビリに破いて捨ててしまうのは間違いです。

特に、通し番号が振られている複写式の領収書を使っている場合、一枚でも欠番があると、税務調査の際に「この番号の領収書はどこにいったのか?」と不審に思われる原因になります。

書き損じた領収書には、大きくバツ印(×)をつけ、「書き損じ」とメモ書きをした上で、控えと一緒にきちんと保管しておくのが正しいルールです。

これにより、不正な発行がなかったことを証明できます。

お客様から領収書の再発行を依頼された場合の適切な対応ルール

サロンを運営していると、「先日もらった領収書をなくしてしまったので、再発行してもらえませんか?」とお客様から依頼されることがあるかもしれません。

親切心から応じてあげたい気持ちになりますが、領収書の再発行は経費の二重計上などの不正につながるリスクもはらんでいます。

ここでは、再発行を依頼された際の、個人サロンとして取るべき適切な対応ルールを解説します。

二重計上のリスクがあるため領収書の再発行は原則として行わない

領収書の再発行には大きなリスクが伴います。

もし、最初にお渡しした領収書と、再発行した領収書の2枚が、悪意を持って経費として計上された場合(二重計上)、発行したサロン側も不正に加担したと見なされる可能性があるのです。

こうしたトラブルを避けるため、多くの企業では「領収書の再発行は、いかなる理由があっても致しかねます」というルールを設けています。

個人サロンにおいても、このスタンスを基本とし、原則として再発行には応じない方針を固めておくことが、自身を守る上で重要です。

どうしても必要な場合は再発行である旨を明記して発行する

とはいえ、お客様が本当に紛失してしまい、会社の経費精算などでどうしても必要だというケースもあるでしょう。

そのようなやむを得ない事情がある場合に限り、例外的に対応する方法があります。

その際は、必ず領収書の目立つ場所に「再発行」と赤字などで大きく記載します。

さらに、但し書きの欄にも「令和6年4月1日発行分の再発行」のように、元々の発行日を明記しておきましょう。

こうすることで、この領収書が再発行されたものであることを明確にし、万が一、元の領収書と同時に使用されたとしても、不正ではないことを証明できます。

再発行の代わりに購入証明書を発行するという代替案も有効

領収書の再発行という直接的な方法を避けつつ、お客様の要望に応えるもう一つの代替案として、「購入証明書」や「支払証明書」という形式の書類を発行する方法があります。

購入証明書とは

領収書ではありませんが、「いつ、誰が、何を、いくらで購入したか」をサロンが証明する書類です。お客様が経費精算をする際の代替書類として認められる場合があります。

書式は自由ですが、領収書と同じく、取引年月日、宛名、金額、内容、発行者情報を記載します。

この方法であれば、二重発行のリスクを回避しつつ、お客様を助けることができます。

「領収書の再発行はできかねますが、代わりにお支払いを証明する書類でしたら発行できます」と提案してみましょう。

個人サロンの確定申告をスムーズにするための領収書の保管ルール

お客様に正しい領収書を発行することと同じくらい重要なのが、発行した領収書の「控え」をきちんと保管しておくことです。

この控えは、個人サロンの売上を証明する重要な証拠であり、確定申告の際に必要不可欠な書類となります。

ここでは、個人サロンオーナーが守るべき、領収書の控えの保管期間や保管方法のルールについて解説します。

個人事業主は領収書の控えを原則として7年間保管する義務がある

個人事業主の場合、法律(所得税法)により、帳簿や書類を一定期間保存することが義務付けられています。

領収書の控えのような書類は、青色申告・白色申告を問わず、原則としてその年の確定申告期限の翌日から「7年間」の保存が必要です。

取引年 確定申告期限 保管期限
2023年分 2024年3月15日 2031年3月15日まで

税務調査は数年経ってから行われることも多いため、この保管期間は必ず守りましょう。

万が一、紛失してしまうと、売上を証明できずに追徴課税の対象となるリスクがあります。

月別や日付順にファイリングしていつでも取り出せるように整理する

7年間という長期間、ただ段ボールに放り込んでおくだけでは、いざという時に必要な控えを探し出すのが大変です。

効率的な保管方法として、月別にクリアファイルや封筒に分け、それを年ごとにファイリングするのがおすすめです。

例えば、100円ショップなどで売っているA4サイズのファイルボックスを用意し、「2024年 領収書控え」といったラベルを貼り、その中に月別に分けた控えを日付順に入れていきます。

こうしておくことで、税務調査などで特定の取引について確認を求められた際にも、スムーズに提示することができます。

スキャナ保存制度を利用すれば電子データでの保管も可能になる

紙の書類を7年間も保管するのはスペースも取るし大変だ、と感じる方もいるでしょう。

そうした方向けに、「電子帳簿保存法」という法律があり、一定の要件を満たせば、領収書の控えをスキャンして電子データとして保存することが認められています。

これが「スキャナ保存制度」です。

スキャナで読み取った後、タイムスタンプ(その時刻にデータが存在し、改ざんされていないことを証明する技術)を付与するなどのルールがありますが、会計ソフトの「マネーフォワード クラウドBox」や「freee会計」には、このスキャナ保存制度に対応した機能が搭載されています。

ペーパーレス化を進めたい個人サロンのオーナーは、こうしたサービスの利用を検討してみるのも一つの手です。

領収書の書き方でよくある質問と個人サロンならではの注意点

ここまで領収書の基本的な書き方やルールについて解説してきましたが、実際のサロンワークでは、さらに細かい疑問や判断に迷う場面が出てくるかもしれません。

ここでは、個人サロンのオーナー様からよく寄せられる質問にQ&A形式でお答えするとともに、個人サロンならではの注意点について補足します。

クレジットカードで支払われた場合の領収書の書き方はどうすれば良いのか

お客様がクレジットカードで支払いをされた場合でも、領収書の発行を求められることがあります。

この場合、領収書を発行すること自体は問題ありませんが、必ず守らなければならない重要なルールがあります。

それは、領収書の但し書きや備考欄に「クレジットカード利用」と明記することです。

なぜなら、クレジットカード決済は、その場では信用取引が行われただけで、サロンが現金を受け取ったわけではないからです。

また、「クレジットカード利用」と記載があれば、たとえ金額が5万円以上であっても、収入印紙を貼る必要はありません。

これは印紙税法上のルールで定められており、現金取引ではないため課税対象にならないのです。

領収書と引き換えにお客様のポイントを利用した場合の金額の書き方

サロン独自のポイントサービスを導入している場合、お客様がポイントを利用して代金の一部を支払うことがあります。

例えば、10,000円の施術で、2,000円分をポイントで支払い、残りの8,000円を現金で支払ったとします。

この場合、領収書に記載する金額は、実際に現金で受け取った「8,000円」となります。

ポイント利用分は会計上「値引き」と同様の扱いとなり、売上には計上されません。

ただし、お客様への説明として、但し書きや備考欄に「総額10,000円、うちポイント利用2,000円」のように内訳を記載してあげると、より親切な対応になります。

お客様への信頼を損なわないための領収書の丁寧な渡し方のルール

領収書の書き方だけでなく、その「渡し方」もお客様のサロンに対する印象を左右します。

書き終えた領収書を無言で差し出すのではなく、両手を添えて「こちら、1万円の領収書でございます。お宛名と金額をご確認いただけますでしょうか」といった一言を添えるだけで、非常に丁寧な印象になります。

また、お釣りと一緒にお渡しする際は、お釣りを先に数えてお渡しし、その後に領収書をお渡しすると、お客様も確認しやすくなります。

こうした細やかな心遣いが、個人サロンの信頼とリピートに繋がるのです。

まとめ:正しい領収書の書き方をマスターして個人サロンの信頼を築こう

今回は、個人サロンのオーナー様が知っておくべき、領収書の正しい書き方から但し書きの例文、印鑑や収入印紙のルール、さらには保管方法まで、幅広く解説しました。

領収書は単なるお金の受け取り証明書ではなく、サロンの信頼性を示す大切なコミュニケーションツールの一つです。

領収書の正しい書き方はお客様と自分自身を守るための重要なルールである

領収書の各項目を正確に記載することは、お客様が経費精算をスムーズに行うために不可欠であり、お客様への配慮の表れです。

同時に、収入印紙のルールや控えの保管ルールを守ることは、後々の税務調査などでサロン自身を守ることにも繋がります。

一つ一つのルールを正しく理解し、実践することが、健全なサロン経営の土台となります。

但し書きや印鑑など細部へのこだわりが個人サロンの信頼性を高める

特に但し書きを具体的に書いたり、きれいな印鑑を押したりといった細部へのこだわりは、お客様に「このサロンはしっかりしているな」という安心感とプロフェッショナルな印象を与えます。

今日からでもすぐに実践できることばかりですので、ぜひご自身のサロンの運用ルールを見直し、取り入れてみてください。

領収書に関する知識を深めてお客様に愛される個人サロンを目指そう

領収書の書き方一つで、お客様からの信頼度は大きく変わります。

この記事で解説したステップやルールをマスターし、どんな時でも自信を持って、スマートに領収書を発行できるオーナーを目指しましょう。

それが、お客様に長く愛され、繁盛する個人サロンを築くための、確かな一歩となるはずです。

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